ヒンドゥーの星
『巨人の星』というのがあげられますが、
ある一定年代の方々にとっては
『神作品』と言っても過言ではないでしょうね。
影響力が大きいだけに、
数々の勘違いや都市伝説の類を生んだりもしました。
オープニングテーマのワンシーンで、
主人公の星飛雄馬が大きなローラーを引っ張って
足腰を鍛える特訓をしているバックに
『思い込んだら、試練の道を』という歌詞が流れていたため、
あのローラーの事を『コンダラ』というものだと
勘違いする視聴者が続出しましてね。
『重いコンダラ』だと思ったわけですね。
同じくオープニングで、
飛雄馬がうさぎ跳びをするシーンも有名ですが、
今はどこの野球部も、膝に負担がかかるからという事で、
うさぎ跳びをさせるところはないですからね。
それにお父さんの星一徹と言えば、
いわゆる『ちゃぶ台返し』のシーンが有名なんですが、
実際に一徹がちゃぶ台を引っくり返したのは一回しかありませんし、
上に物が乗っているちゃぶ台を引っくり返した事はないんですね。
しかも、ちゃぶ台は丸いと思ってらっしゃるでしょうが、
星家のちゃぶ台は『四角い』という事に
気付いている人も案外少ないかもしれません。
今年秋から、その『巨人の星』の設定を、
野球に似たクリケットに置き換えた『インド版・巨人の星』が、
インドで全国放送されるそうですね。
クリケットはインドの国民的スポーツでして、
飛雄馬が生まれ育った日本の高度成長期と、
発展著しい現在のインドの社会状況が、
似通っている事から企画されたんだそうですね。
地元の文化や習慣、宗教観に合わせて
多少アレンジはするものの、大筋は原作と変えずに、
『大リーグボール』や『ちゃぶ台返し』も登場するそうです。
タイトルは『ライジング・スター』といって、
星飛雄馬にあたる主人公のスーラジは、
中間層より所得が低い建設技術者の父から特訓を受け、
スター選手に成長していくんですね。
宿命のライバル、花形満にあたる
ヴィクラムというキャラも登場するそうでして、
スポーツカーで颯爽と登場した花形に対して、このヴィクラムは、
ゾウにまたがって球場入りしたりするんでしょうね。
お父さんはきっと頭にターバンを巻いていて、
ちゃぶ台返しのシーンでは、上にカレーが乗ったちゃぶ台を引っくり返すため、
部屋中にナンやルーが飛び散って大変な事になりますよ。
毎回『大リーグ養成ギブス』を装着してカレーを食べさせられたり、
重いコンダラでスパイスを挽かされたりする主人公は可哀想ですよね。
でも、それもこれも全ては、魔球である
『マハラジャボール1号』を完成させるためだから仕方ないですけどね。
試合のシーンになると、これはインド色が色濃くなるでしょうね。
点数が入るたびに、どこからともなく出てきたダンサーたちと一緒に、
選手も混じって踊りまくるわけですね。
ただ、オリジナルの『巨人の星』では、
結婚する事になっている飛雄馬のお姉さんと花形も、
インドでは厳格な『カースト制』の壁に阻まれて、
別れなければならないなんて事になるかもしれませんね。
微笑亭さん太