ここで、する?
気をつけていただきたいですね。
先月、東京都武蔵野市のデパートの食品売り場で、
62歳の女性にスリをしようとしたとして、
79歳の無職女性が現行犯逮捕されましてね。
この女性、スリ歴60年、逮捕は23回目という超大物スリでして、
百貨店の地下の食品売り場を主な仕事場としていた事から、
捜査員の間では、『デパ地下のさと婆』と呼ばれていたそうですね。
無職といっても、ある意味しっかり、
『手に職』はついていたわけなんですけどね。
この方普段から、
食品売り場で買い物をする高齢女性をターゲットにしていたらしく
『食品売り場では商品を見ていて警戒心が薄くなる。
高齢女性はカードではなく、現金を持っているから』と仰ってるんですが、
『高齢女性』と言っても被害者は62歳ですから、遥かに年下なんですけどね。
ですから捕まった時も『これは、リハビリの一環です』とでも、
言い訳すればよかったんじゃないでしょうかね。
基本的にスリというのは、誰も傷つけないし、
捕まった時、素直に罪を認める事から、割と警察官から愛されてるんだそうですね。
『癒し系の犯罪者』というのもどうかとは思うんですが、
どことなく愛嬌のある感じはしますよ。
被害者の方々からしてみたら、とんでもない話でしょうけどね。
この『デパ地下のさと婆』にしても、
超大物スリという割には、23回も逮捕されてますからね。
60年のキャリアで23回ですから、単純計算で3年に一度以上の割合ですが、
収監されてる時間を差っ引くと、かなりの頻度で捕まってるわけですよ。
『またお前か』みたいなもんでしょうね。
本当に凄腕のスリだったら、ニックネームが付くほど捕まらないでしょうね。
23回目の逮捕をされた彼女も、年齢が年齢なだけに、
事によると塀の中で天に召される可能性もありますよね。
そうなったら『デパ地下のさと婆』改め、
『デパ地下の卒塔婆』と呼ばれるようになるんでしょうかね。
こういった異名持ちのスリというのは、
60~80代にかけての高齢者が多いんですね。
というのも、1940年~50年代にかけてスリの元締めが、
盛んに手先の器用な子供たちを養成していたんですね。
その生き残りたちが今も現役で頑張っているというわけですが、
やはり年齢には勝てませんよね。
実際、昨年から今年にかけて『ケツパーの梅じい』だとか『エンコヅケのマツ』、
『ブランコの金』、『ギャンのタメやん』、『声かけのタマちゃん』といった
異名持ちの大物スリたちが、次々逮捕されてるんですね。
年齢と共に動きも鈍くなりますから、今だ!と思って懐に手を入れようと思ったら、
相手がもう3メートルくらい先に行っちゃってたりとか、
やっとの思いですった財布を、近くにいた若手のスリに
すられちゃったなんて事もあるかもしれません。
ちょっとボケちゃったスリなんてのもいるでしょうね。
財布じゃなくて、『使い捨てカイロ』をすり盗って捕まったりしてね。
「何でカイロなんか盗ったんだ?」
「ええ、懐が暖かそうだったもんですから…」
物事を始めたばかりで未熟な人の事を『駆出し』と言いますが、
これはスリの方から来てる言葉だそうですね。
新米のスリというのは、財布をすり盗ったら一目散に駆け出してしまうので、
かえってバレやすいという事で、『駆出し』という、
新人を揶揄する言葉が生まれたようですね。
それに対して、うまくて味のあるスリの事を
『ほんだし』と言うらしいですが…真偽のほどは定かじゃありません。
微笑亭さん太