さるお方の話
ジュースを飲むためのストローなどの道具を手渡す行動をするのが、
研究の結果判ったなんてニュースが出てましたね。
自分に直接の利益がなくても、相手に求められれば道具を貸してあげるという、
きっと相手のチンパンジーに対して、
チンパンジー…いや、シンパシーを感じたんでしょうね。
チンパンジーと並んでオランウータンも賢い動物ですよね。
オランウータンというのは樹上に巣を作る事で知られてますが、
その巣を作る場所に一定の条件があるという事が、
これも研究で判ったそうですね。
その条件というのは、
近くにミネラル分を豊富に含む水が湧く場所があるとか、
道路から遠く離れているとか、
近くにコンビニがあるとか、結構厳格な条件なんですね。
オランウータンは主にマレーシアのボルネオ島に住んでますが、
あちらの不動産屋さんは、
「こちらの物件、良い物件ですよ~!
すぐ近くに、ミネラルいっぱいの水飲み場があります。
何しろ『ボルネオのおいしい水』として、
ハウスから売り出されてるくらいの水ですからね。
道路からも遠いですよ。
駅まで徒歩三日ですからね。
それに木の上ですから、土地代がかかりません」なんてな調子で、
オランウータンに物件を紹介してるかもしれませんね。
昨年、大阪の天王寺動物園では、
お客さんの与えるお菓子類でオランウータンが虫歯になり、
その虫歯から菌が入って肺炎を併発し、
死亡してしまうなんて事が起こったそうですね。
サルの世界でも虫歯は大敵なんですね。
その一件を踏まえてかどうかは判りませんが、
タイに住む野生のカニクイザルは、
人の髪の毛を糸ようじのように使って、
歯の間に詰まった食べかすを取ったりするそうですね。
髪の毛を両手で持って器用に歯間磨きをするわけですが、
いくらサルが利口でも歯磨きが出来るというのは、
誰か他の動物が教えたんじゃないかと思って調べてみたら
『ライオン』の回し者だったらしいですけどね。
歯磨き用の髪の毛は、常に何本かストックしておくらしいんですが、
数えると少なくなってるそうでして。
やはりサルですから、毛が三本足りなくなっちゃうんですね。
この歯磨きの行動ですが、
母親が子供のサルに教える行動も確認されているそうですね。
母ザルが子ザルと向かい合って、
身振り手振りで歯磨きの方法を教えるそうでして、
まだ尻の青いものに、
尻の赤いものが教えてるんですね。やはり知恵がありますよ。
サルが物事を教えられるんでしたら、
そのうち、バイトでサルの家庭教師なんてのも出てくるかもしれませんね。
プロゴルファーのサルもいるくらいですから、家庭教師くらいは出来ますよ。
時給はバナナ三本、
成績が上がらないと『反省!』ってやりますし、
何回も家庭教師に通ってるうちに、段々人間に進化してきたりしてね。
サルというのは賢いイメージがあるにもかかわらず、
『君の頭はサル並みだね』と言われると誰もが怒りますよね。
彼らは、良い意味にも悪い意味にも使われているという
微妙な立ち位置にありますよね。
サルの狡猾さを表す昔話に『さるかに合戦』がありますが、
あの話に登場するサルは普通のサルで良かったですよね。
もしもあれが『カニクイザル』だったら、おにぎりには目もくれずに、
いきなりカニを食べてしまって終了って事になってたでしょうからね。
微笑亭さん太