進路指導はいりません
このノロノロ加減には、本当にまいりましたね。
古の昔、日本では台風の事を、
野の草を吹いて分けるところから、野分(のわけ)と呼んでいて、
11世紀初頭の『枕草子』や『源氏物語』などにも
そういった表現が使われてるんですね。
『台風』に比べると、大変に風情のあるネーミングですよね。
台風が来ると、台風情報に耳を傾ける事になりますが、
日本で初めて台風情報を出したのは誰かと思って調べてみたら、
これが意外にも、あの『鞍馬天狗』だそうですね。
列島に近づいてくる台風を察知した鞍馬天狗は、
「杉作、日本の野分は近い」と言ったそうでして…有名な台詞ですよね。
毎年、幾つかの台風が発生するわけですが、
台風の年間発生数の平均は26・7個なんですね。
昨年は14個と非常に少なく、統計を取り始めて以来、
過去最少だった1998年の16個を下回り、
最少記録を塗り替えたんですね。
日本列島への接近数も7個という事で、
平年の10・8個より全然少なかったんですね。
強い雨風で甚大な被害を及ぼす台風なんだから、
来ないに越した事はないと思われるかもしれませんが、
梅雨以後、夏場の各地のダムや山間部の川といった水瓶への、
重要な水源になってるものですから、
『来ないと困る』という側面がある事も事実なんですね。
実際、2005年の台風14号は、大きな被害を生んだんですが、
それまで渇水によって貯水率〇%となっていた早明浦ダムを、
たった一日で一気に100%まで回復させたんですね。
すぐに頼ってくるウザい後輩みたいなもので、
来なきゃ来ないで、ちょっと寂しいみたいな感じがあるんでしょうかね。
ここ数年は台風が大型化しているような印象がありますし、
複雑なルートを辿る『迷走台風』も多くなった気がします。
どうかすると同時に複数の台風が発生したりしますが、
2個の台風が千キロ以内にある場合、
互いに干渉し合って複雑な経路を辿ったりするんですね。
まあお互い台風としてのプライドがあるでしょうから、
「16号、お前の方が後から出来たんだから、お前がどけよ」
「何言ってんだ15号、俺の方が暴風域が広いんだから、お前が譲れよ」
なんてんでケンカになったりするんでしょうね。
お互い相当怒ってるらしくて、衛星写真を見たら、
目が三角になってたそうですけどね。
微笑亭さん太