常に銭湯状態
今まで考えられなかったような現象が方々で起こっていまして、
福島では、空地や道路、一般家庭の庭先から、
所構わず温泉が湧き出してるなんて事がありましてね。
普通温泉が出たなんて言うと喜ばしい事なんですが、
玄関先から60度近い熱湯が絶えず出られる状態というのは、
迷惑以外の何物でもないですね。
湧き出したお湯がたまっちゃうもんですから、
早速庭先で、カラスが行水してたそうですけどね。
今回被災された方々の中には、
入浴に苦労された方が多かったようですね。
自宅が壊れたり電気や水道が止まったりして、
お風呂やシャワーが使えなくなったためです。
そこへもってきて、
被災地である岩手、宮城、福島には、銭湯が少ないんですね。
4月半ばの時点で、週に一度程度しか入浴できない避難所暮らしの方が、
37%もいらっしゃいました。
ですから、ライフラインが戻ってきて銭湯が再開されると、
お客さんがドッと押し寄せましてね。
震災前は一日50人程度しか利用者のなかった銭湯に、
500人以上のお客さんが来たそうですね。
銭湯は公衆浴場法で『一般公衆浴場』とされ、
入浴料金が各都道府県ごとに決められてるんですね。
そこが、サウナやスーパー銭湯との決定的な違いのわけです。
庶民に愛されてきた銭湯も、後継者不足やスーパー銭湯との競走で激減し、
1995年には全国で9741軒あったものが、
2008年には5722軒にまで減っちゃったんですね。
近年は一年に50軒のペースで廃業が続いているそうです。
東京では持ち家率が低い事もあって、銭湯の利用者が多いんですが、
今後、災害時に役立てようという動きもあります。
銭湯は最低でも20~30トンの水タンクを備えてますし、
脱衣所のスペースは負傷者の救護などに使う事ができますし、
食料の備蓄場所にもなります。
ですから、もっと銭湯を大事にしてあげなくちゃいけませんから、
これから色々な事を銭湯でやるというのもひとつの手ですね。
例えば商談なんかも、銭湯でやるわけですね。
会社同士の大切な駆け引きも、担当者が湯船に入ってやるわけですから、
まさに我慢比べですよ。
熱い湯に入りながら互いの意見を主張し合い、
最後に折れた方はタオルを投げるわけですね。
お見合いなんかでも湯船の中でやれば、
成功する確率は高いと思いますよ。
何しろ話しているうちに、自然と相手にのぼせていきますからね。
その場ですぐに、
「奈々子さん、ボクと結婚してくれませんか?」
なんて男性の方が言うと、彼女は黙って洗面器を差し出すもんですから、
『あ、OK(桶)だな』って事が判るわけです。
その場で指輪を贈りましてね。
これがいわゆる『混浴指輪』という事になるわけですね。
スポーツも例外じゃありません。
ゴルフなんかも銭湯でやるわけですね。
番台がティーグラウンドになってまして、
入浴剤の入った湯船が『グリーン』という事になるわけです。
一発で湯船の排水口に入れると、ホールインワンでしてね。
キャディとして三助さんがついてくれるもんですから、
途中で背中も流してくれるわけですよ。
こういう銭湯でゴルフをやるプレイヤーの事を
『フロゴルファー』と呼ぶようになるんじゃないでしょうかね。
微笑亭さん太