嘘八百ではなく、嘘八千
やはり普段から健康を保つ努力が必要ですよね。
健康維持のために車や交通機関を使わず、
なるべく歩くようにされている方は結構いらっしゃいますが、
昔から健康を保つ目安としてよく知られた歩行目標は『一日一万歩』と言われています。
ところが最近、六十歳以上では一日六千歩、
それより若い世代でも八千歩歩けば死亡リスクが半減するとの研究結果を、
米国などの国際チームが英医学誌に発表したんですね。
しかも、それ以上歩いてもリスクは、ほぼ下がらなかったと言いますから、
今まで一万歩歩いてきた人たちにしてみれば『もっと早く言え!』と、
文句の一つも言いたくなるでしょうね。
チームはこれまで、世界で実施された十五の研究、
計約四万七千人のデータを集めて解析したんですね。
そしてそこから、歩数が増えると死亡リスクがどれくらい低減していくかを調べてみると、
六十歳以上では一日平均三千歩の人たちに比べ、
六千~八千歩歩いた場合の死亡リスクは約五十%減ったんですね。
六十歳未満でも一日五千歩のグループに比べ、
八千~一万歩で死亡リスクが同じく約五十%まで減ったそうですね。
「やっぱり、そんなに沢山歩かなくてもいいんだよ。
昔から歌でも『一日一歩、三日で三歩』って言ってるだろ?」
「そんなに遅いのに、歌ってる人のニックネームが【チーター】なんだよね」
ただ【八千歩】と言われてもピンと来ない方がいると思いますが、
個人差はあるものの、平均的には『八千歩=五千七百六十メートル』だそうですから、
五軒先のコンビニに行くのも原付に乗っちゃうような方にとって、
六キロ近く歩くのは、なかなか大変ですよね。
「歩くのは大切だから、ワシもこれからは家にこもってないで、積極的に表を歩く事にしよう」
なんてんで、歩く高齢者が増えていくんじゃないですかね。
「最近、歩く高齢者の方が増えたそうですね」
「はい。その結果、交通事故の死亡率が増加しました」
それじゃ何にもなりませんけどね。
ダイエット目的で歩く方もいますよね。
「ウォーキングの消費カロリーって、一時間で約二百キロカロリーくらいなんだよね。
ご飯茶碗に軽く一膳が二百四十キロカロリーだから、
一時間歩いて、ご飯一膳にもならないくらいしか消費しないんだよ」
「苦労する割には減らないね」
「そうなんだ。ところで、咳一回の消費カロリーは二キロカロリーなんだよね」
「たったそれだけ?」
「いやいや、例えば一分間に二回、ゴホンゴホンと咳き込むペースが一時間続くと、
二百四十キロカロリーと、まさにご飯一膳分だよ。
四時間咳き込み続ければ千キロカロリーを消費する計算になるんだよ」
「なるほど、表を歩くより、引きこもって咳き込んでた方が効率的なんだね!」
この【咳き込みダイエット】がオススメできるかどうかは、甚だ疑問ですけどね。
微笑亭さん太