愛の目盛り

もうすぐ相撲が始まりますが、
今場所もまた、横綱・白鵬の連勝記録に注目が集まるでしょうね。


その白鵬が『朝青龍についてどう思いますか?』と尋ねられ、
『相撲が大好きだとは思うけど、相撲を愛してはいなかった』と答えていたというのを目にしました。
言いえて妙、といいますか、かなりの名言ではないかと思いますが、
同時に私は、これを落語に置きかえて、
思わず考え込んでしまいました。


自分は、落語は好きだけど、
愛してはいないのではないかと。



別に哲学的な話題をするつもりもないんですが、
これは以前から、うすうす感じていた事なのです。
お客さんの前で好きな落語を演じて笑っていただく、
そのために高座に上がり続けているわけで、
私と同じ立場の方々も、皆さんそういう思いで上がられていると思います。


しかし、自問自答するに、
『80のウケが取れる落語』と
『100のウケが取れる漫才・コント』と、どちらか選べと言われたら、
100のウケが取れる方を選んでしまうであろう自分がいるのは事実です。
となると、『落語が演りたい、聞かせたい』ではなくて、
ただ単に『ウケが取りたいだけ』という事になってしまいます。
ウケさえ取れれば、別に落語じゃなくていいのか、と。


そんな『落語を否定するような自分』を認めたくないし、
己の考え方に対して嫌悪感を感じる事さえあります。
昨年から、池田の大会など、
『勝ち抜かなければならない高座』を経験する事により、
その嫌悪感は、自分の中で強くなりつつあるのを感じています。


落語というのは本来、
そんなにガンガン笑わせるものではありません。
ストーリーがあって、その自然な流れの中で、
無理なく笑いを取っていくものだと思います。


『これではお客さんは笑わない』
『もう少しギャグを増量しないと』
『ここで、もう一押しの二段オチを』
…そんな事ばかり考えている自分は、
落語を冒涜してるのかとさえ思ってしまいます。
将来的なプラスより、目先の実利を重んじる、
まるで『受験勉強』のような落語ですね。


『愛する』という事は、
『見返りを求めない事』だと、よく言われます。


落語に対して、完全に見返りを求めている自分は、
落語を『利用』しているだけで、愛してないのかもしれません。


池田の大会を通じて知り合えた社会人落語家の中には、
明らかに、落語を愛してる方々が沢山いらっしゃいました。
そういう方々を前にすると、
自分の考えの浅ましさに、後ろめたさを感じると同時に、
落語に対して素直にそう思えるひたむきさを、
とても羨ましく思いました。


この先、胸を張って、
『落語を愛している』と言える自分になれるよう、
考えなくてはいけないと思いました。


微笑亭さん太
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非公開コメント

深い日記でございました。

わたしは落語に対し無知蒙昧も甚だしい人間なので、何か意見するなどもってのほかなのですが、
さん太さんの真摯な日記を読ませて頂き、心を揺らされたので、的外れな感想を書く事を、ちょっとだけお許しください(汗)

芸能ごと、とは、わたしが思うに二つに分かれるのではないかと感じるのです。
曰わく、自分の為にやるのか、誰かの為にやるのか。

誰かの為にやるというのは、結局まわりまわって自分の為にやってる事になるんですが、
自分の為というのは、まわりの人より自分の満足感が最優先だ、というやり方になります。

どちらが真の、かは、自身の性格やお持ちの哲学によるでしょう。
どちらの考えを持った方のが優れてるとかいうものでもないと思います。
しかし落語には、それプラス、好意で拝聴に来られているお客様の思い、というものがあります。


一体、これらがどのような崇高な三角形となった際に落語の真髄が垣間見えるのでしょう。
そう考えるとしみじみと深いものだなと思いますし、
落語に限らず、きっとなんでもそうかなと、ぼんやりと感じます。

ごめんなさい、失礼しました。

Re: タイトルなし

キミは緋い華さん、ありがとうございます。

『不快日記』じゃなくてよかったです(笑)

人前で演じるものである限り、
『自己満足』にはならないようにしようと、
いつも自分に言い聞かせているつもりです。

しかし誰でも、
自分が面白いと思う事しかできないわけですから、
そのあたりの『すり合わせ』というのは、
とても難しい事だと思っています。

見返り美人ではありませんけれど…

さん太さん、こんばんは。

物や動物の前で落語を演るわけではないですし、
演者さんがお客さんから『笑い』を求めることは、
すごく自然で当たり前なことだと思います。

見返りを求めないということは、
とてもすごいことだと思いますけれど、
お客さんの『笑い』を求める気持ちが、お客さんを楽しませたいという思いからだとすれば、
見返りを求める演者さんほうが、お客さんは嬉しいんじゃないかなって思います。

愛とはゆるすことと言いますから、
目の前に困ったお客さんがいても、広~い心で許してくださいね!

No title

いいんじゃない?
自分と向き合ってる感があって・・。。
  
愛は考えるモノよりも、想うモノの方がより強くあると思いますよ。
  

長年連れ添ってる『落語』にムゲな事はしないようにね!
横井くん!!

さん太さん、こんばんは。

さん太さんの声でこの文章を読ませていただきました。
きっと半分はネタで、答えは御自分の中にちゃんとあるのではないかと思ってしまいました。

さん太さんの仰る
>しかし誰でも、
自分が面白いと思う事しかできないわけですから、

本当にそうです。
だからこそ楽しく続けられる。私もそうです。
それが愛ってことだと思います。

キミは緋い華さんの仰る
>誰かの為にやるというのは、結局まわりまわって自分の為にやってる事になるんですが、

これも本当にそう思います。
やはり愛なしではできません。

さん太さんは、人知れず血のにじむような稽古を重ね、情報を集めネタをつくり、
また、お客さんが喜ぶように構成し練り上げて、着物を着て高座に上がり
登場人物を演じ分けて、笑ってもらって喜びを得る。

このどこにも嫌悪感を感じる必要などないはずです。
全国のファンは、さん太さんが心から落語を愛しているのをわかっています。

知った様に書いてしまいました。エールと受け取ってくださいね。


Re: 見返り美人ではありませんけれど…

陽子さん、ありがとうございます。

なるほど、『見返り美人』とは、
見返りを求める美人の事だったんですね~(笑)

まあ、一番辛いのは、
『客席の笑い』という見返りが来る予定だったのが、
全く来なかった時でして…そういう事は、
ごく頻繁にあったりします(苦笑)

そういう時には率先して、
『愛想笑い』という優しい手を差し伸べて下さい。

Re: No title

ぽん太さん、ありがとうございます。

…ありがとうございますですが、
こっそり本名で呼びかけないで下さい(笑)

そうですね、
毒身…いや、独身の私にとっては、
長年連れ添ってる『パートナー』みたいなものですからね。
しくじらないように、気をつけなければいけませんね。

Re: 愛

新子さん、ありがとうございます。

新子さんが仰る通りだと思います。
私もそう思ってはいるんですが、
笑いを取るために上がっているのに、
いざその手段を考えている自分に、
時々疑問を感じてしまうんですよね。

色々と、アドバイス、
ありがとうございました。

No title

さん太さん、はじめまして。

いつも池田の社会人決勝大会を拝見しております。
また来年も再来年も楽しみにしていたのに(優勝しないでください…笑)、倉田市長が大阪府知事選に出馬するとかで、さん太さんの今後が大変心配です。

だから今日、偶然この記事を見つけて、ひとこと言わずにいられなくなりました。


私はさん太さんの落語が大好きです。
それは理屈抜きに面白いからです。
さん太さんが、お客さんのために一所懸命作品を書いておられるのがまっすぐ伝わってきます。
多分それは作品に対する愛であり、お客さんに対する愛でもあると思います。

落語の面白さって多分、上手いだけでは伝わって来ないものだと思うのです。
さん太さんの落語は、上手いとか何とかの以前に「落語の面白さを伝えたい」という愛情が凄く感じられます。
だから、これからもさん太ワールド全開で、是非是非、私たちを楽しませて下さい。


以上、拙い文章で申し訳ないですが、さん太さんの落語ほんとに好きなので、自信持って頑張ってください。
これからも陰ながら応援しています。(でも、豊川はちょっと遠いです…)

Re: No title

はのんさん、ありがとうございます。

私にはもったいないような感涙もののコメント、
誠にありがとうございます。

そうですか、決勝を見てくださってたんですね。
皆さん、本当にお上手な方ばかりで、
3年連続で決勝の舞台に立たせていただいたのは、
運がよかったとしか言いようがありません。

>倉田市長が大阪府知事選に出馬するとかで、さん太さんの今後が大変心配です。

そうなんですよ、
私も府知事選に出ようかと思ってたんですが、
倉田市長が出られると聞いて、泣く泣く断念しました(笑)

今後の心配までしていただいて申し訳ない限りですが、
来年までには真人間に更生して、池田に参りたいと思ってますので、
大会が残っててくれるといいですね~。

これからも、
はのんさんに楽しんでいただけるようなネタを作り、
高座で演じていけたらいいな~と思ってますので
今後とも、よろしくお願い致します。

またお暇な時に、
このブログを覗きに来てくだされば嬉しいです。
微笑亭さん太 プロフィール

微笑亭 さん太

Author:微笑亭 さん太
愛知県豊田市在住
豊橋落語天狗連所属

公演依頼される方は、
090-8133-6921
にお電話下さるか、
hohoemiteisanta@yahoo.co.jp
あるいは、
hohoemitei-santa@hotmail.co.jp
までメール下さい。

アマチュア落語家として高座に上がる一方、創作落語を執筆し、自ら演じたり、プロの師匠方にも提供しています。寄席、イベント等に呼んでいただければ、喜んで駆けつけますので、よろしくお願い致します。

『悪質商法撃退落語』『振り込め詐欺防止落語』『認知症落語』『納税推奨落語』『男女共同参画落語』などの、特定のテーマの落語口演も致します!

また、イベントの司会、台本や原稿等の執筆依頼も受け付けておりますので、お気軽に御連絡下さい。


●エフエムとよた
【ラブィート演芸 楽市・落語】パーソナリティ
日曜日午後6時~6時半(隔週担当)放送中!


《受賞歴》
平成16年 『六人の会』主催 
第1回全国落語台本コンクール
最優秀賞

平成20年 落語協会主催
落語台本コンクール
佳作

平成21年 国立演芸場主催
漫才・コント台本コンクール
最優秀賞

平成21年 池田市主催
社会人落語日本一決定戦
3位入賞

平成22年 池田市主催
社会人落語日本一決定戦
奨励賞受賞

平成24年 落語協会主催
落語台本コンクール
優秀賞

平成24年 上方落語協会主催
落語台本コンクール
佳作

平成25年 池田市主催
社会人落語日本一決定戦
藤本義一賞受賞

平成25年 上方落語協会主催
落語台本コンクール
佳作(2期連続)

平成27年 落語協会主催
落語台本コンクール
最優秀賞

平成28年 落語協会主催
落語台本コンクール
優秀賞(2期連続)









微笑亭さん太 『団塊居酒屋』(さん太・作) 動画

団塊居酒屋 前半

団塊居酒屋 後半


《プロの師匠方への提供作品》

『こうもり』 春風亭小朝師 林家たけ平師 三笑亭可龍師 林家木久蔵師 春風亭ぴっかり師

『オトナの試験』『恋するオ・ト・メ』『短パン刑事』『同窓会』 桂かい枝師

『身投げ橋』 春風亭昇太師 五明楼玉の輔師

『人面瘡』 春風亭小朝師 桂三木男師 鈴々舎風車師 千原ジュニアさん

『茂造の恋』 春風亭小朝師 五明楼玉の輔師

『お伽村』 林家木久蔵師

『豆腐小僧』 春風亭小朝師 林家正蔵師

『トイレ革命』 三遊亭亜郎師

『こくせん』『幸せの指南書』『改訂版・寿限無』 林家ひろ木師

『地球最後の日』 三遊亭丈二師 三遊亭吉窓師

『罪を憎んで・・・』 月亭遊方師

『かごめかごめ』 桂文雀師

『転校生』柳家小せん師

『リベンジ商店街』古今亭駒次師



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