風呂フェッショナル
ケミカルエンジニアのデーブ・ホワイトロックさんという方が以前、
お風呂に入らなくても綺麗でいられる商品を開発して話題になりました。
【マザー・ダート】というそのスプレーは、
一日二回スプレーするだけでいいんだそうでして、お風呂嫌いには朗報ですよね。
何でそんな物を発明したのかというと、
当の本人が大のお風呂嫌いでして、十二年間お風呂に入っていなかったそうですね。
察するに周りからは【公害扱い】されていたのではないかと思いますから、
必要に迫られての発明じゃないかと思いますね。
ただ、その発明に費やした多大な時間を、
入浴に回すという選択肢は無かったのかな~と考えてしまいますよね。
毎日お風呂に入らないと気分が悪くて寝られないなんて方がいる一方、
心底お風呂嫌いなんという方もいらっしゃいましてね。
有名人とて例外ではありません。
【直木賞】や【吉川英治文学賞】といった
数々の文学賞を受賞された文壇の大御所、【五木寛之さん】という方がいらっしゃいます。
御歳八十九歳になられる現在もダンディなイメージのある方ですが、
実は極度のお風呂嫌いなんだそうですね。
これはご本人もカミングアウトされてるんですが、お風呂に入るのは盆暮か、
せいぜい季節の変わり目程度なんだそうですね。
入浴の回数より、御進物の回数の方が多い方というのは、そう滅多にいませんよ。
入浴しないわけですから、当然の事ながら髪の毛も洗わないわけです。
洗わなければフケが出るわけですが、最初は白いフケが出るので、
白っぽい服を着て目立たないようにするんだそうですね。
それでしばらくやりすごすと、五木さん曰く【ツンドラ状態】というのになるんだそうです。
これは【頭皮から出る脂が固まって、フケが出なくなった頭】を指すんだそうでして、
シベリアのツンドラ地形をイメージして作られた造語だそうですね。
やはり、不潔感の中にも文学的な味わいを感じさせますよね。
この【ツンドラ状態】になった後は、【落下物】は黒くなるのだそうでして、
そこからは黒っぽい服を着ればいいという事なんですね。
非常に、吐き気を伴う合理性ですよね。
「僕は、【路上生活者にハゲ頭なし】という真理を発見しました」
五木さんはこんな事を仰ってるんですが、言われてみると確かに、
ホームレスの方に頭の薄い方は少ないような気がしますよね。
ご自身の髪の毛が八十代にして未だにフサフサなのは、
まさに【洗わないから】だと考えてらしゃるようで、
それを身をもって実践されているという事になるんでしょうね。
五木さんが入浴する際には、
お風呂の中に、ビニール袋にいれた本を持ち込み、読みふけるんだそうですね。
これは、長く風呂に入る事によって【メルドダウン現象】が起きて、
垢などが落ちるんだそうでして、ちょっとした原発並みの危険性になってるという事ですね。
その昔、ずっと入浴をしていない状態で乗馬をしたら、
馬があまりの体臭に青ざめてしまったそうでして・・・
それを見て、第56回直木賞作品の【蒼ざめた馬を見よ】を書いたそうですね。
五木さんの他にもお風呂嫌いはいるわけでして、あの【スティーブ・ジョブズ】も、
風呂は週に一回しか入らなかったそうですし、マラソンの高橋尚子選手も現役時代は、
『お風呂は疲れるから』という理由で、小出監督から入浴を禁止されていたそうですね。
そうしてみると、あのシドニーオリンピックの金メダルは、
血と汗と涙とアカの結晶だったという事になるんでしょうね。
微笑亭さん太