金儲けの才覚
【ままごと遊び】や【お店屋さんごっこ】というのをやったりしますよね。
四歳になる娘さんがお金を預けると増やしてくれる銀行屋さんを開いていたので
『へえ~、結構世の中の色々な事が判ってるんだな』と思ったパパが【二千万円】を預けたら
【三十五万円】になって返ってきたそうでして・・・世の中を判ってないのはパパの方だったという・・・
子供から世間の厳しさを教わっちゃったわけですね。
大金持ちになる人というのは、
持って生まれたお金儲けの才能というものがあるんでしょうね。
ある雑誌の記者が、世界でも有数な大富豪のインタビューに成功しましてね。
記者が大富豪の家を訪ねると、豪邸のあちこちには高そうな骨董品の壺や掛け軸、
絵画などが飾られていて【ひとりなんでも鑑定団】ができそうなくらいの豪華さなんですね。
「早速質問させていただきたいのですが、どのようにして,
これだけの成功を収められたのでしょうか?」
「私が生まれたのは貧乏な長屋で、明日のお米もないような暮らしをしてました。
十五歳の時、両親に死なれ天涯孤独の身となり、
無一文で世間の荒波に晒される事になったんです・・・本当に苦しくて、どん底の時代でした」
「さぞ、ご苦労をされたのでしょうね?」
「大変な苦労でしたが、私はたゆまぬ努力を忘れませんでした」
「是非、ウチの雑誌の読者にも、その成功の物語というものを教えていただきたいのですが」
「構いませんよ」
大富豪は昔を思い出すように目を閉じましてね。
「それは、大不況の嵐が吹き荒れる時代でした。
両親が死んで、まだ幼い私が住んでいたアパートを追い出された日、
私のポケットには,もう五十円玉が一つしか残ってませんでした。
私は、腹が減って腹が減って、その五十円で汚いリンゴをひとつ買ったのです。
そして、かぶりつこうとして、袖でリンゴの汚れを拭いたら・・・
実に綺麗で美味そうなリンゴになりましてね。
私は、そのリンゴを食べずに百円で売ったのです。
そして、その百円でまた汚いリンゴを二個買ってそれを売り・・・それを繰り返すうちに、
私は『商売というのは、こういう事だ』というのを理解したんですよ」
「なるほど!それは感動的なお話です」
「こうして一週間後には、リンゴを売ったお金は、何と二千三百円にまで増えていたんです」
「素晴らしい!やはり、努力と工夫が今の成功を生み出したのですね?」
「いえ、その翌日、金持ちの大叔父が死んで五十億の遺産を相続したんです」
【お金儲けの才能】よりも【運】の方が遥かに大切なんだという事が、よく判る話ですよね。
微笑亭さん太