スイッチ恩!
恩返しをする生き物の代表格と言えば、日本の場合、
やはり【鶴】が挙げられるんじゃないかと思います。
犬や猫が恩返し的な行動を取ったという話は、稀に聞いたりしますが、
実際に鶴が恩返ししたという話は聞きません。
ひとえに『鶴の恩返し』という昔話の影響が大でしょうから、
鶴たちにとっては甚だ迷惑かもしれませんね。
「あの話のお陰で私たち鶴は、人間から恩を受けたら、
必ず恩返ししなきゃいけないみたいな空気ができちゃってるのよね」
「昔、私たちの先祖の鶴が、猟師の罠にかかってしまい、それを人に助けてもらった。
だから人間の女の姿に化けてその人のところへ行き、
自分の羽根で反物を織って恩返しをしたのが始まりだったわよね」
「そうそう。その反物を初めて作った日が五月五日だったので、
その日が私たち鶴の間では、お祭りとされてるでしょう?」
「ああ、五月五日『反物節句』ってやつね」
「あの日になると鶴一同があつまって、シュプレヒコールを上げるのよね。
『やられたらやり返す、恩返しだ!』って」
「あれ、結構恥ずかしいんだけど」
「何が恥ずかしいの、立派なスローガンじゃないの」
「私も以前、ある男の人に助けてもらったんだけど、
彼の家へ行って恩返ししなければと思ってたら、その人、
交通事故に遭って骨折して入院しちゃったのよ」
「あら~ツイてないね」
「だから『早く良くなってください』という思いを込めて恩返しをしようと、
鶴の仲間を沢山呼んだのよ」
「どういう事?」
「鶴千羽を紐で繋いで病院に行ったの」
「リアル千羽鶴!?折り紙じゃなくて、生の鶴で千羽鶴?それは喜んでくれたの?」
「めちゃめちゃドン引きされたわ」
それは恩返しどころか、迷惑でしかないって事になっちゃいますよね。
鶴という鳥は、頭に赤い部分がありますが、あの赤い部分というのは【血】なんだそうですね。
白と黒のコントラストに頭の赤色がアクセントの、何とも美しい姿が魅力的な鶴ですが、
頭の赤い部分は毛ではなく皮膚なんですね。
名前だけじゃなく頭までツルツルという事になるわけですが、
あの赤い部分、皮膚は皮膚なんですが、皮膚が赤いわけではなく、
皮膚が透けて中が見えているんですね。
つまりあの赤いのは、ぶっちゃけ『肉と血』だという事になるわけです。
その証拠に近くで見ると、つぶ状に突起した肉がたくさん集結しているのが判るという、
【美しさ】と【グロさ】を併せ持った鳥だという事が言えるわけですね。
鶴というのは英語で【クレーン】と言うんですね。
クレーンといえば、工事現場で鉄骨とかを持ち上げたりする時に使われる重機ですが、
あの形が鶴に似てる事からクレーンという名前になったそうですね。
ですから物を運ぶために、クレーンで物を持ち上げる事を【吊る】って言うんですね。
・・・ウソですけどね。
微笑亭さん太