実に公平な話
残念ながら世の中には『不公平な話』というのがあるんですね。
あるところに『何か仕事はないものか』と、朝早くから仕事を探していた人たちがいましてね。
するとそこへ、大きな農場を経営する主人がやってきましてね。
「あなたたち、ウチの農場で午後六時まで、日当一万円で働きませんか?」
「やります!お願いします!」
なんてんで契約が成立して、連中は農場へ働きに行ったんですね。
このご主、もうちょっと人手が欲しいってんで、
朝九時、正午、午後三時と、それぞれ人を集めて農場に送ったんですね。
ところが夕方五時頃になってこの主、念のためにもう一度出かけて見ると、
そこにボ~ッと立っている人たちがいるんですね。
不思議に思って、
「あなたたちは、一日中仕事もしないで一体何をやってるんですか?」
「ええ、仕事はしたいんですが、誰も私たちを雇ってくれないんですよ。
それで仕方なく、誰かが雇ってくれるのをこうして待っていたら、
こんな時間になってしまってって・・・」
「そうですか。では私があなたたちを雇いましょう」
「えっ、でも、もう五時ですよ。一日の仕事も終わるくらいの時間では?」
「いいから、いいから。来なさい」
まことに気前のいい主でしてね。
そして間もなく終業時間の六時になると、
「はい皆さん、今日の日当を払いますから、
最後に来た人たちから順番に、一列に並んでくださいね」
主はそう言って、夕方五時に来た人たちに、一万円渡してるんですね。
最初から来ていた人たちはこれを見て、
「しめしめ・・・一時間しか働いてない奴らが一万円も貰えるなら、
朝から働いていた俺たちは、一体どれぐらい貰えるんだろう?あ~楽しみだなあ~」
なんてな事を言いながら列に並ぶと、貰った金額は、全員一律一万円なんですね。
収まらないのは朝早くから来ていた人たちですよ。
「ちょっとご主人、これはないでしょう!
朝早くから汗水たらして働いてきた私たちと、夕方ちょこっと来て
一時間しか働いていないこの連中と、何で同じ金額なんですか?
それはいくら何でも納得がいきませんよ」
主に猛然と抗議したんですが、それは当然ですよね。
その気持ちは理解できます。
ところが主は、
「どうして納得いかないんですか?
私はあなたとは確か、日当一万円の契約をしたはずです。
他の人にいくらあげようが、私の勝手ですよね?
私はただ、皆さんに幸せになってもらいたいだけなのです」
『ふざけるな~!』と言いたいくらい不公平な話に感じると思いますが、
これは何と【聖書】の中でイエス様が語られた例え話なんですね。
【農場の主】というのは【神様】を表していて【労働者たち】は我々【人間】の事ですね。
『神様というのは愛ある公平な方なのかと思っていたのに、
こんな不公平な事を堂々とされるなんてありえない!』と思ってしまいますが、
よく考えてみると、一見とんでもない不公平に見えるこの話、
実はとんでもなく公平な神様の姿を表しているんですね。
というのも神様は
『あなたは長年神様を信じてきたから、年数分の祝福をあげよう』とか
『あなたはまだ信じて一年未満だから、祝福はあげないよ』なんていう事は言わないで、
信じる人みんなに祝福をくださるというわけです。
おまけに、イエス様を信じる人みんなを天国に入れてくださるという事ですので、
たとえ五時五十九分の終業間際でも、信じるだけでOKという事みたいですね。
これを公平と思うかどうかは置いておいて、神を信じるか信じないかは、あなた次第!
という事でしょうかね?
微笑亭さん太