嗅ぐや姫の憂鬱
恋人が脱いだTシャツなどをクンクンすることによって
幸せを感じる人は結構いるみたいですね。
「ねえ、私のTシャツのにおい嗅ぐの止めてよ。汗臭いかもしれないから」
「いや、むしろそれがいいんだ」
なぜ異性の体臭を嗅ぎたくなってしまう人がいるのかという話ですが、
やたら変態が多いという事ではありません。
異性のニオイを嗅いでしまう理由には様々なものが考えられるんですが、
特に『パートナーを選ぶため』だとか『ストレスを減らすため』というのが有力視されてましてね。
嗅覚が優れている生き物といえば、真っ先に犬が挙げられ、
人間はあまり良くないイメージがありますよね。
しかしバナナ、硫黄といった特定の臭いに関しては別なんですね。
2007年に行われた実験では、犬にはキジのにおい、
人間にはチョコレートのにおいを辿らせたところ、
人間は犬と同じようなルートで追跡できたんですね。
ですから、人間も特定のにおいであれば、犬のように優れた嗅覚を発揮する事が判ったんですね。
こういった人間の優れた嗅覚はパートナーを選ぶ際にも役立ってましてね。
スイスのベルン大学で行われた研究では49名の女性に、
男性が2日間着ていたTシにおいャツのを嗅いでもらったところ、
女性が【いいにおい】と感じたのは、自分とは違うタイプの遺伝子を持つ男性のにおいであり、
逆に【嫌なにおい】と感じたのは、自分に近い遺伝子を持つ男性のにおいだったんですね。
なぜ自分とは違うタイプの遺伝子を持つ人を【いいにおい】と感じるのかというと、
人がにおいから判別していた遺伝子は人の免疫に重要な役割を果たしてるからなんですね。
男女の免疫系が違うほど、生まれてくる子供はより感染症に強くなる事が期待でき、
逆に男女の免疫系が似ているほど、健康に悪影響が出やすいからなんですね。
つまり人間はより健康的な子孫を残そうとして、
無意識のうちににおいから自分とは違う遺伝子を持った異性を選ぼうとするわけですね。
よく『お父さん臭い』と娘さんに言われて悩んでしまうお父さんが多いですが、
親子は遺伝子情報が非常に似ているため、臭いと感じてしまうのは仕方がない部分もあるんですね。
・・・遺伝子レベルで娘に嫌われるお父さんに悲しみを感じないでもないですけどね。
「お父さん、とってもいいにおいだね」
これは遺伝子云々ではなくて、お父さんの浮気を疑うべきでしょうね。
異性のニオイを嗅ぎ、いいにおいと感じるのであれば、
その人は遺伝子的にも遠く、相性がピッタリだという可能性があるという事になりますよね。
「お兄ちゃん、いいにおいだね」
妹さんにそう言われたら、これは喜んでいいかどうか微妙な話になっちゃうって事ですね。
「俺さ、自分の体臭が臭いんじゃないかって思って、めっちゃ臭い消ししてるんだよ」
これはエチケットとしては良い事ですが、
恋愛にとっては逆効果という事になるのかもしれませんね。
微笑亭さん太