暴走する妄想
英語にも同じようなことわざがあって【ハエにも怒りがある】というそうですね。
「俺たちハエだってね、腹が立つ事は多いんだよ。
夏場、気分よくブンブン飛んでると、いきなり人間が殺虫剤なんてのをかけてくるんだよ。
俺たちが何をしたってんだよ。
だから、いつ殺虫剤をかけられるのかと、いつもドキドキしながら飛んでるんだよ」
これが【キンチョーの夏】というやつですよね。
他人から酷い事を言われた時、
即座に【ハエになった自分が壁にはりついてる様子】を想像するだけで、
怒りが消えやすくなるそうですね。
信じられないかもしれませんが、
ちゃんとした海外の研究論文に裏打ちされたものなんだそうでして、実験も行われてるんですね。
被験者に対して過去の嫌な体験を思い出してもらったところ、
自分を壁に止まったハエだと考えたグループは、怒りを抱く確率が低かったらしいんですね。
これは、ハエだと思う事で体験と感情の間に距離感が生まれて、
ネガティブな思考を繰り返し考えなくなるのが原因のようです。
イマジネーションをフル稼働するわけでして、妄想している最中、
他人からハエ叩きでバシッと叩かれましてね。
「痛えな~!何すんだよ!?」
「あ、ごめん!てっきりハエだと思ったもんだから」
こうなったら本物ですよね。
「そうか、自分をハエと思えばいいんだな。よ~し・・・」
妄想しているうちに、昔、出来上がったラーメンにハエが入って
食べられなくなった事を思い出して、怒りが再燃しちゃったりしましてね。
こういう意識をそらすというのは、結構重要な事のようですね。
とある自殺の名所に【豆腐の材料は何?】という変な質問の貼り紙をしたら、
自殺者が減ったという話があるそうでしてね。
思いつめてる人間に、あえてそういう、どうでもいい質問をぶつける事によって、
ふと肩の力が抜けて、死ぬのがバカバカしくなっちゃうんでしょうね。
現実を離れて妄想するのは、嫌な事、苦手な事をする時にも有効じゃないかと思いますね。
掃除の苦手な主婦が掃除をする時は
【世間知らずのお嬢様が、貧乏して家政婦してる】なんという設定で始めたら、
はかどるんじゃないですかね。
「あら?この機械はどう使えばいいのかしら?
ボタンがあるけれど・・・キャッ!吸い込まれる!・・・あ~ビックリした。
これでホコリを吸いとるのね!・・・ガラス窓を拭くのって、とっても大変。
でも、ここのおうちは、お屋敷より窓が小さいから楽ね・・・家政婦の三田さんは、
いつもこんなに大変な思いをしていたのね。
ちっとも知らなかったわ・・・お屋敷を出てから会っていないけれど、
元気にしているかしら・・・まあ!こんなところにシミがあるわ!
このシミ、亡くなったお父様に似ているわ・・・お父様、わたくしは頑張ります!」
こんな感じで妄想を膨らませていけば、苦手な掃除も楽しくなる事請け合いですね。
微笑亭さん太