洗剤一遇のチャンス
こじれると大変な事になってしまいますよね。
お嫁さんの出来が悪いとかではなく、お嫁さんのする事全てが気に入らないという、
絶望的な価値観の中で暮らすのは大変ですよ。
「全然綺麗になってないじゃないの。全くあなたは、お洗濯もまともに出来ないのね~」
お嫁さんの洗濯の仕方が気に入らなくて、
いつもお姑さんがやり直す事に我慢に我慢を重ねたお嫁さんが、ついにキレましてね。
腹立ち紛れに、洗濯機に洗剤を二十五杯入れて回したんですね。
そうしたら、カニを洗ってるんじゃないかというくらい泡が出て溢れ出し、
洗濯機が壊れてしまったそうでしてね。
その家ではこの一件を、【アタック25】と呼ぶようになったそうですけどね。
洗濯機が壊れたら新たに購入しなければいけませんが、
中国では、【ペダル駆動洗濯機】というのがあるそうですね。
自転車のような形をしているその洗濯機は、分厚い後輪のホイール部分が水槽になっており、
ホイールの中に水と衣服を入れて通常の自転車同様にペダルを漕げば、
サイクリングしながらにして洗濯ができてしまうんだそうですね。
・・・早い話が、これは【自転車】ですね。
アイデアは面白いんですが、実用性はかなり疑問なんですね。
というのも、洗濯中に水槽内の水を入れ替えるために蛇口を探さなければならないし、
中の洗濯物が水と共に揺れるため、実際にペダルを漕いでも大した動力を得られないそうですね。
その上、後輪部分が透明なので、下着を洗う場合は見られないように、
かなり高速で回さないといけないですよね。
「この洗濯機の最大の長所は何ですか?」
「はい、ゴロゴロ転がす事で体が鍛えられます」
洗濯機には、そういう事は求めてないですよね。
家電製品は日進月歩ですから、
今以上に色んな事が出来る【多機能洗濯機】というのが、どんどん出てくるでしょうね。
そうなると洗濯機の売り場では、
「これ、多機能洗濯機って書いてあるけど、どんな事が出来るの?」
「よく聞いてくださいました、奥様。
この洗濯機の一番の売りは、一緒に洗いたくない物・不動の一位でもある
【お父さんの下着専用槽】を搭載している点です」
「まあ~それはいいわね~。一緒に洗うと、娘がガチで嫌がるのよ」
「さらに洗濯機でありながら、調理もしてくれます」
「調理も!?」
「はい、洗濯機に鶏肉を入れていただくと、カラアゲが出来るのです。
・・・【センタッキー・フライドチキン】と言って」
「単なるダジャレじゃないの」
「しかも、朝起きて一人静かにパンツを洗う思春期中学生を、
そっと気遣ってくれる機能も付いてます」
「まあ、優しい・・・」
「そして洗濯の最後には、感想を述べてくるんですね。
【Tシャツ、首いってるよ】とか、【よそ行きの服は手洗いすべきじゃないかな】とか」
「うわ~、それは便利と言うより、大きなお世話ね」
こんな多機能洗濯機の完成も、そう遠くはないでしょうね。
微笑亭さん太