インフラのインフレ
当然の事ながら【道路】や【橋】を使いますよね。
普段はそのありがたみに気づきにくいですが、
工事中などで通れなくなると、そのありがたみがよく判ります。
道路や橋が壊れれば直すのは当たり前と思われがちですが、
『壊れたけど、もう直せません』と言われて、二度と通れなくなるなんて例が、
全国あちこちであるんですね。
国土交通省が調べたところ、自治体が管理する橋のうち、
通行止めになっている橋は2018年時点で2900本あり、
2008年の977本に対し、10年間で3倍近く増えてるんですね。
その背景にあるのは【老朽化】ですね。
戦後の高度経済成長期には
『コンクリートは永久構造物だから、とにかく造れ』と言われていて、
人口が増加する中で、人々の暮らしを豊かにするために、
片っ端から道路や橋、トンネルなどが造られたんですね。
ですから【老朽化】や【修繕】の事は、ほとんど考えられず、
こうしてできた橋やトンネルは、全国に73万ヶ所もあるんですね。
当然、老朽化が一斉に進んでいくわけですが、老朽化が原因で起こった大きな事故をきっかけに
『今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切らなければ、近い将来、橋梁の崩落など、
人命や社会システムに関わる致命的な事態を招く事は必定』という提言がなされ、
インフラの【新設】から【維持管理】に重点を置くよう方針転換を図ったんですが、
橋などを管理する自治体の予算不足が主な原因で、修繕は思ったように進んでないんですね。
「飛鳥時代に作られた橋が残ってたりするのに、
最近作った橋がダメになるのって何だか不思議だよね」
「そうそう。太古の橋は大丈夫で、近代の橋が崩壊するのは、今日か飛鳥(明日か)だね」
橋が壊れていては、本当に人々の生活に響いてくるわけでして、
「ここは橋が壊れたまま修繕する費用がなくて、そのままになってるんですよ」
「どうやって渡るんですか?」
「そこに渡し舟がありますから、それを利用してください」
「渡し舟って、スワンボートじゃないですか。これで渡るのは恥ずかしいですね」
「それが嫌なら、上を見てください。
ツタがぶら下がってるでしょう?それを利用して向こう岸へ渡ってください」
「ターザン方式で渡るんですか!?命がけですね」
橋でさえその状況ですから、トンネルに至っては、
「トンネルが崩壊してしまって通れませんから、この道を進んでいってください」
なんて言われて進んでいくと、山の手前にスコップが置かれていて、
傍らに『セルフサービス』の看板があったりなんかしてね・・・
自分でトンネルを掘るのは勘弁してほしいですよね。
微笑亭さん太