全然アリな話
冬は人肌が恋しくなる季節ではありますが、
昨年、初めてできた恋人と年末年始を過ごして、
ソーシャルディスタンスを保った清い交際を重ねていた若者たちがいる一方で、
人妻と禁断の関係になり『密会、密室、密着』の、
禁断の【三密】を楽しんでいたカップルもあったんじゃないかと思います。
どういう形であれ恋愛というのは良いものですが、
広辞苑などで【恋愛】の意味を調べると『異性を好きになること』と書かれていたんですが、
最近、その記述から【異性】という言葉が削除されたそうですね。
やはり時代と共に辞書も、LGBT問題に対する配慮が
求められるようになっていったんでしょうね。
言葉というのは非常に難しいもので、
時代を経て意味が変わっていったり、新たな意味が加わる言葉というのもあります。
「この問題、全然判らないよ。全然歯が立たない」
といった時に使う【全然】という言葉ですが、
最近は『全然美味しい』『全然楽しい』といった、
『全然の後に肯定の言葉がつく』といったパターンで使う人が、全然いますよね。
・・・これもそうですが。
この『全然+肯定』の使い方に違和感を抱くという方が結構いらっしゃるようですね。
肯定の意味での使い方というのは、ごく近代になって使われだしたイメージがありますが、
実は夏目漱石の『坊ちゃん』にも『一体生徒が全然悪いです』という一文があって、
思ったより古くからあるようなんですね。
【全然】は元々『百%である』という意味でして、
一九五五年初版の広辞苑には『全く。すべて。まるで』という意味しか書かれてなかったんですね。
ところが、一九六九年の第二版になると突然、
『下に否定の語を伴って、全く。まるで』となっているので、
この広辞苑を参考に国語教育が行われた当時の小中学生は、
『全然には否定を伴う』と覚えてしまったわけです。
さらに一九八三年の第三版以降は
『(俗な用法として肯定的にも使う)完全に。非常に』と、注釈と共に書き加えられたので、
その結果、どちらにも解釈されてしまうというややこしい事態を招いてしまったんですね。
第二版で育った昭和の小中学生同士の会話だと、
「今日のテスト、できた?」
「全然」
と言ったら、間違いなくダメだったという意味ですが、
令和の世の中だと『ちゃんとできた』という全く逆の意味である可能性もあるわけですね。
これだけでもややこしいんですけど、さらに新たな意味も加わっているようでして。
「ねえねえ、この洋服、あんまり似合ってないでしょ?」
「全然」
この場合は、『全然似合ってるよ』という『相手の不安を和らげたい配慮の気持ち』や
『思いやり』を全然に込めた使い方でしてね。
心の中では『笑止千万!』と思っていたとしても、
『気にしなくていいよ~』とか『大丈夫だよ~』といった
【優しいウソ】として使うケースもありますから、ますますややこしいですよね。
「お聞きになりました?
川口さんの息子さん、周りに無視され続けた事が原因で、
家に引きこもって出てこないんですって」
こういう人の事を【全然全然無視無視かたつむり】なんという・・
そんな使い方も出てくるかもしれませんね。
※今日です↓
●3/18(木) 午後2時~
『道の駅とよはし トマッテ寄席』
道のえき・とよはし(豊橋市東七根町一の沢113ー2)プロジェクト室
木戸銭¥500
出演 微笑亭さん太
誕生してまだ1年半ほどの大人気施設、
『道のえき とよはし』にて落語会をやらせていただきます。
手探りで始める落語会ですので、どうなるか判りませんが、
是非お越しいただきたいと思います。
微笑亭さん太