見事な発想飛び
それをみんなで見ているのが家族団欒のデフォルトであった時代には、
ドラマのラブシーンが始まると、急に気まずい空気になるなんて事がよくありました。
お母さんが急にふきんでテーブルを拭きだしたり、
お父さんが『タカシ、最近学校の方はどうなんだ?』なんてんで
不自然に関係ない話題をフッてきたりというのは、ある意味、昭和の風物詩でした。
今はテレビも一人一台みたいな家も多いですから、そういう事も少なくなりましたが、
それでも子供に見せたくないような話題が放送されてたりすると、
親御さんとしては嫌ですよね。
芸能人が薬物でもって逮捕されたというニュースが
報道されているのを見た小さな女の子がお母さんに、
「・・・ねえ、お母さん、【大麻】って何?」
と聞いてきたんですね。
これは答えにくいですよ。
動揺したお母さんは、
『それを使うと、警察に逮捕されてしまう植物なのよ』という事を伝えようとして、
「え~っと・・【つかまる草】ね」って言ったら女の子が、
「ターザンみたいなの?」
・・・女の子の頭の中には、ジャングルの中でターザンが雄叫びを上げながら、
ツタにつかまって滑空している光景が浮かんでいたんでしょうね・・・
こういう発想は、大人にはできないのかもしれないですね。
子供ならではの発想に、大人がハッとさせられる事はしばしばあるわけですが、
小学校の算数の時間に先生が問題を出しましてね。
「いいですか?
四人のお客さんが乗っているバスがバス停に止まり、そこで五人乗ってきて七人が降りました。
今、バスには何人乗っていますか?」
算数ではありがちな、定番のパターンの問題ですよね。
すると、すぐに男の子が手を上げて指されると、
「先生、すぐ降りた三人は何がしたかったんですか?」
・・・確かによくよく考えてみると、乗った人間がその場で降りてないと、
この問題は成り立たないわけですが、作った大人の方は、それに気づいてなかったりするわけですね。
遊びの場でも、子供の発想に驚かされる事があります。
昭和に発売され、今だにニューバージョンが発売され続けているボードゲームの定番に
【人生ゲーム】というのがありますが、
「この間、家族で【人生ゲーム】をやってたんだよ」
「あ~、最終的に金を一番持ってる奴が勝ちってゲームだろ?あれってまだあるんだ」
「そうしたら十歳の娘が俺に
『ねえお父さん、何で終わった時に沢山お金を持ってる人が勝ちなの?』と聞かれて、
答えられなかったよ」
まさかお父さんも十歳の娘に、
『生きていく上で本当に大切な事は何か?』を問われるとは夢にも思わなかったでしょうね。
微笑亭さん太