傾斜ワルツ
『ビッグベン』と言えば、ロンドンを代表する建物のひとつですが、
そのビッグベンの塔が、どんどん傾いているそうですね。
傾斜している事は以前から指摘されていたようなんですが、
最近は目で見ても判るようになってきたとの事ですから、放置できない問題ですよね。
この時計塔、2002年頃から傾きだしたらしいんですが、
そのスピードが速まっていて、現在は0・26度くらいまで傾いたそうですね。
この原因としては、
ビッグベンの完成間もない1860年代に始まった下水溝工事の他、
地下鉄や地下駐車場の工事など、人間がモグラ並みに
地面をほじくったツケが回ってきたようですね。
この話を聞いて、
「ビッグベンが傾いた?冗談じゃないよ。
『傾いてる』という事しか特徴のない、俺の立場がないじゃないか!」と、
『ピサの斜塔』が怒ってたそうですけどね。
しかし見た目で判るほど傾き始めたのでは、
すぐにでも倒壊するのではないかと心配になりますよね。
ですから建築家の方に、
「時計塔は一体、いつ倒れるんですか?」ったら、
「時間の問題です」と言ってたらしいですけどね。
本当のところは、危なそうに見えても結構余裕があるようでして、
現在の進行速度でピサの斜塔並みになるには、
あと4000年かかるそうでして・・・
回りに住んでる住人の方々には、6021年あたりをメドに、
避難命令を出せばいいって事ですね。
「4000年後が心配ですね」
「いえ、それ以前に、建物自体が4000年も持ちませんから」
・・・まあ、そりゃそうでしょうね。
状況に合わせて、建物自体が変化していく建物があったら面白いですよね。
経営状態が悪化していくと、どんどん会社の建物が傾いていくもんですから、
通行人の方々にも丸判りなんですね。
女の子がデスクの端にお茶を置くと、隣の人のデスクまで滑っていったりしてね。
傾きが激しくなると、外から2階の窓に直接手が届いちゃったりするんですね。
そこまでいきますと、冬場に雪が積もったら、
屋上をスキージャンプの練習場として使う事もできたりするんですね。
これからは、人目を惹くような個性的な建物が増えていくかもしれませんね。
よじ登らなきゃいけないくらい敷居の高い家があったかと思ったら、高級料亭だったりとかね。
あるいは、5階建てなのに、2階のないビルとかね。
「このビルは5階建てなのに、2階がないんですって?」
「そうなんですよ。建てる時に建設費用が4階分しかなかったもんですから、
2階が建てられなかったんですよ。
見ますか?・・・え~っと、ここが1階と3階の間なんですけどね」
「えっ、ここですか?
うわ~、何人もの人が、上の階を持ち上げてますね。『リアル人柱』ですね」
「・・・あ~よかった、やっと来てくれたよ。
はい、じゃああんた、俺の代わりにここを支えてね」
なんてんで『交代要員』にされちゃったりしてね・・・
いくら個性的でも、こんな建物は嫌ですよね~。
微笑亭さん太