紙がかり的な貼り紙
数多いる泥棒の中には、間抜けな方もいるようでしてね。
一昨年、中国の安徽省での話ですが、寝静まったホテルに泥棒が侵入しましてね。
音がしないよう靴を脱いで、そろりそろりとホテルの中に入って行ったんですね。
支配人が寝ているのをいい事に盗みを働き、その後、男は急ぎ足で出口へ向かいましてね。
まんまと逃げおおせたと思ったのも束の間、この男の足の臭いが強烈だったせいで、
寝ていたホテルの支配人が目を覚ましましてね。
鼻が曲がるような刺激臭が目覚まし代わりとなった支配人は、
すぐに警察に通報し、男はあえなく捕まちゃったんですね。
逮捕した警察官も、鼻をつまみながら連行したって話がありますが・・・
その後、改心した泥棒は、本当の意味で【足を洗った】そうですけどね。
盗みに大小はなく、たった飴玉一個でも、
お金を払わずに持ち去れば、それは立派な窃盗犯になるわけです。
昨年はトイレットペーパーの買い占めによる不足もあり、
公衆トイレや飲食店などから、トイレットペーパーの盗難というのが相次ぎました。
『トイレットペーパー一個くらいなら・・・』という罪悪感の薄さから、
黙って持ち帰る人が多発したんでしょうね。
トイレという個室で行われる犯罪を防ぐ事は、なかなか難しいですよね。
バッグにトイレットペーパーを入れてトイレを出られると、
盗んだ事を店員さんが知るのは不可能に近いですよね。
「・・・お客さん、ちょっとお待ちください。
バッグの中に、ウチのトイレにあったトイレットペーパーを入れてますよね?」
「えっ?そ、そんな事してませんよ。何か証拠でもあるんですか?」
「とぼけてもダメですよ。
女子トイレの個室内にある防犯カメラに、あなたがロールをバッグの中に入れる姿が
バッチリ映ってましたから!」
こうして無事に盗難事件を防ぐ事ができたそうですけどね・・・
これは明らかに、【別の犯罪】が明らかになってますよね。
最近、トイレットペーパーの盗難に頭を悩ませるお店が、たった一枚の貼り紙で、
ほぼ完ぺきに盗難を防いだという事が話題になりましてね。
そのお店、トイレ内に『大好評販売中!当店で使用のトイレットペーパーは、
盗まれるくらい好評なので、販売いたしております。
お手数ですがレジへお持ちください。一巻五十円(税込)』という貼り紙を貼ったんですね。
これはなかなか、うまい手ですよね。
お店のトイレに置かれているトイレットペーパーは、
トイレを使う人は自由に使う事ができるという【タダの物】だと思われているわけです。
盗む人も、タダだと思ってるから気軽に持っていくわけで、
あまり盗んでいる意識はないんでしょうね。
ところが、そこへ【値段】を付ける事によって【商品】となり、
『盗んだら窃盗になる』という意識を浮き彫りにする効果があるわけですね。
ある高校生がお店のトイレから
トイレットペーパーを盗もうとして店員さんに見咎められて捕まりましてね。
その後、親がやってきて、
「この度はウチの息子が盗みを働こうとした事、本当に申し訳ございませんでした。
息子に代わってお詫びしますので、どうか許してやっていただけませんか?」
盗んだ物がトイレットペーパーだからといって、親に【尻ぬぐい】をさせてはいけませんよね。
微笑亭さん太