決して漏らさず
子供の『おむつ外しの年齢』が、時代と共に遅くなっているそうですね。
戦前、おむつ外しの年齢というのは、生後六ヶ月から一歳と、随分早かったんですね。
それが、戦後から一九七〇年代頃までは一歳半から二歳になり、
第二次ベビーブーム以降一九九〇年までは二歳半から三歳にまでずれ込んだんですね。
それが今、幼稚園や保育園で四月時点で、
おむつを使用している子がいる三歳児クラスは九十二・二%、
四歳児クラスでも十一・六%あるんですね。
もう既に『三歳以降』にまで遅くなってるんですね。
「何だ、健太はまだおむつをしてるのか?いい加減、おむつを止めさせろよ」
「そういうあなたが先ず、おしゃぶり止めなさいよ」
なんてな会話が、家庭で交わされてるかもしれませんね。
なぜこんなに遅くなったのか、その原因のひとつとして、六〇年代頃から、
『早期のおむつ外しは、子供に心理的な悪影響がある』という学説が
広まった事が挙げられるそうですね。
早くにおむつを外したら、ぐっしょり濡れたおむつに襲われる夢でも見るんでしょうかね?
この噂を広めたのは多分、紙おむつ業界じゃないかと思いますね・・・
早く外されては困りますからね。
おむつ外しの『適齢期』というのは、自力歩行が可能になり、
『ちょっと待ってて』という言葉が理解できて、
『チッチ』など一語文が話せるなどの条件を満たす『二歳前後』だそうですね。
まずは日中に挑戦して、できたら就寝時のトレーニングという風に進んでいくんですね。
おむつから布パンツに替えて、時折、トイレやおまるに座らせて
排泄の時間間隔を測るんだそうですね。
そして大事なのは、出来なくても怒らない事。
逆に出来た場合には、思いっきり褒めてあげる事ですね。
嫌というほど頭を撫でながら『ヨシヨシヨシ、ヨシヨシヨシ・・・』なんてやってれば、
『オムツゴロウさん』なんて呼ばれるようになるかもしれません。
おむつ外しの時期がもっともっと遅くなって、
大人になってもおむつをしてるのが普通になったら困りますよね。
いい年をした働き盛りのサラリーマンたちが、大事な商談を前にして、
自分のおむつを交換している姿なんてのは、ゾッとしませんよ。
「おい、お前気付いた?相手の山田部長の様子」
「気付いた、気付いた。話してる途中で、一瞬会話が止まった時だろ?」
「そうそう。その後、ブルブルってしたから、あの時多分、お漏らししたんだと思うよ」
「でも言えないよな~、『山田部長、どうぞおむつ交換してきて下さい』なんて」
「だけどさ、そのお陰で、金額の折り合いの話とかスムーズにいっただろ。
よほど、おむつの中が気持ちが悪かったんだな~」
「若干、グズりかけてたもんな~」
なんてな事になるかもしれませんね。
そうなったら子供から大人になるにつれて、
『ムーニーマン』から『アテント』へ履き替えなくちゃいけませんよね。
微笑亭さん太