ブレイクしそうな予感
【大人の代名詞】のような時代もありましたが、
今やタバコはすっかり嫌われものになってしまいましたよね。
一方、コーヒーの方は、健康を増進させる働きがあるという事で、
スポットが当たったりしてましてね。
焙煎時に香り成分を閉じ込めたコーヒーを毎日四杯飲めば、
体内の免疫機能が高まるという研究結果が、学会で発表された事がありました。
これは、コーヒー豆に含まれる香り成分に、
免疫を活性化させる働きがある事が突き止められたからだそうですね。
香り成分を閉じ込めた豆と、従来製法の豆を、
カップ四杯分に相当する濃度のコーヒーを抽出してマウスに四週間投与する実験を行い、
マウスの血液を調べたところ、香り成分を閉じ込めたコーヒーを投与した方の免疫抗体の濃度が、
従来製法の場合より一・六倍も高い事が判明したんですね。
コーヒーの香りはリラックス効果があるとされていますが、
香り成分を飲む事で免疫機能が高まれば、風邪を引きにくくなる可能性もあるそうですね。
「ウチの子、野球部に所属してるのに、風邪を引きやすくて万年補欠なのよ。
ちょっと、コーヒーを飲ませてみようかしら」
なんてんで、お母さんが一生懸命、息子にコーヒーを飲ませたら、
そのお陰で、補欠から【レギュラー】になれたなんて話もありましてね。
ひょっとしたら、人間以外の物にも効くかもしれませんよね。
「ウチで使ってる掃除機、コーヒー豆を入れると、勝手にサクサク動いて掃除してくれるのよ」
「えっ、コーヒー豆で動くの?」
「そう。だからウチでは、その掃除機の事を【コーヒールンバ】って呼んでるの」
そのうちコーヒーが、様々なジャンルに影響を及ぼすようになってきましてね。
服飾メーカーが、数種類の高級豆を使ったバッグを販売したりしましてね。
これがいわゆる【ブレンド物のバッグ】というやつですね。
書籍業界でも、
コーヒー豆が焙煎される過程を赤裸々に描いた小説が発売され大ヒットしましてね。
ところがこれが、作家本人ではなく、別の人が書いた小説だという事が発覚しましてね。
以後、こういう役割の人を【ローストライター】と呼ぶようになるんですね。
「ウチの会社では、今後、給料をコーヒーで払う事にしたから」
こんな事を言い出す社長が出てきまして、
毎月の給料がコーヒー豆で支給されるようになるんですね。
最初は高級豆で支給されていたのが、
途中からこっそり、安い豆に替えようとしてバレましてね。
「飲んでみたら一発で、安物のコーヒーだって事が判ったよ」
社員全員、【違いのわかる男】だったわけですね。
こういう会社を【ブラック企業】と言うんでしょうね。
微笑亭さん太