万病のもとを侮るなかれ
普通の風邪やインフルエンザにも気をつけていただきたいですね。
『風邪は引き始めが肝心』とよく言われるように、
体調がおかしいなと思ったら、早め早めに風邪薬を飲んでいただくのが
いいんじゃないかと思いますね。
よく製薬会社のCMで
『健康は〇〇製薬の願いです』なんてキャッチコピーを見かけますが、
あれはいかがなものかと思いますね。
というのも、人類がみんな健康になって誰一人病気にならなくなったら、
そこの会社がつぶれるのは確実ですからね。
これはパチンコ屋さんの『ジャンジャンバリバリ出します!』と並んで、
判りやすいウソのコピーになるんじゃないかと思いますね。
かつての風邪薬のパッケージというと、よく見かけるデザインというのがありましてね。
何といっても多かったのが【ダルマ】が描かれたパッケージですね。
これは『風邪を引いて苦しくなったら、ダルマの絵の薬を飲めば、
寝込んでも起き上がれるよ!七転び八起きだ!』というメッセージなんだそうですね。
・・・『七転び八起き』という言葉もおかしな言葉ですよね。
転んだのが七回なら、立ち上がる回数も七回であって、八回は起き上がれないんですけどね。
ダルマに次いで多いデザインが【ロケット】や【ジェット機】ですね。
これは『風邪を引いても、この薬を飲んだら早く直るよ』という意味で、
ロケットやジェット機が速さの代表格で、憧れだった時代に作られたのがよく判りますよね。
今だったら、ロケットやジェット機の代わりに、パソコンとかスマホじゃないですかね。
ネットに書き込まれてSNSなどで拡散されるスピードは、音速に匹敵するでしょうからね。
案外多いのが【鬼】が描かれたパッケージですね。
風邪というのは【邪気】ですから『怖い鬼は邪気を追い払ってくれるので、
風邪もすぐに治るよ』という意味だそうですね。
同様の意味で【龍】や【鍾馗様】なんかも描かれましてね。
「ウチの子、風邪を引いて高熱が出て意識が朦朧としていたんですが、
鍾馗様が描かれた風邪薬を飲んだら、すぐに熱が下がって意識もハッキリしたんですよ」
『正気(鍾馗)を取り戻す』というのは、ここから始まったそうですけどね。
最近、風邪薬の広告コピーのトーンが、昔と変わってきたなんて事が話題になりましてね。
というのも、シオノギヘルスケアの風邪薬【パイロン】の
『かぜの時は、お家で休もう!』と書かれた電車の中吊り広告が
ツイッターで取り上げられたのがきっかけなんですね。
風邪薬などの広告コピーといえば、
これまでは薬を飲んで頑張るよう励ます表現も用いられてきたんですが、
最近はこのように、ゆっくり休む事を促すといった変化の動きがあるんですね。
風邪薬を飲む目的というのは、あくまで風邪の症状を緩和させる事にあるわけですね。
風邪薬というのは大体の場合、風邪を引いてしまった段階で飲むものですから、
『風邪薬を飲んだから、もう大丈夫』ということは決して言えないわけです。
それを踏まえた上で、
風邪に対する最も適切な対処は『きちんと休む事』にあると、
メーカーが気がついたというわけですね。
そうしてみると、昔盛んに流れていた『二十四時間、戦えますか?』なんというコピーは、
狂気の沙汰と言えなくもないですよね。
微笑亭さん太