滑らない話
以前、北里大の馬渕清資教授が『バナナは滑る』という事を証明して、
【物理学賞】を受賞されたという事がありました。
バナナの皮の摩擦係数を測定して、
通常より六倍滑りやすい事を証明されたんですが、
バカバカしさも極めると感動を覚えますよね。
ユーモアが欠如していると欧米から揶揄される日本人ですが、
この【イグ・ノーベル賞】は、日本人が結構受賞しているそうでして、
なかなか大したものですよね。
「バナナは、おやつに入りますか?」
この台詞は、遠足の前に教師と生徒の間で交わされる会話の定型文として、
あまりにも有名ですが、実際に、この質問をした事がある人というのは、
どのくらいいるんでしょうね?
今では完全に【ネタ化】しちゃってますよね。
この質問の目的というのは
遠足に持っていけるおやつの値段が200円とか300円とか決められている中で
バナナがその中に含まれるかどうか、小学生にとっては
非常に大きな問題の問いかけであるわけです。
しかしこの質問を、よく考察してみると色々な背景が見えてくる気がします。
まず、この質問をした子は、【果たしてバナナが好きなのか?】という事です。
先生にわざわざ質問してるくらいなんだから、
そりゃ好きに決まってるだろうと思いがちなんですが、
この質問は【遠足にできるだけ沢山の食べ物を持っていきたい】という
意思のもとに発せられていると思われます。
バナナがおやつに入らなければ、その分、お菓子を買い足す事ができますからね。
という事は必ずしも、【バナナが好きだから持っていきたい】わけではなく、
【おやつリスト】から外れる、いわば【脱法おやつ】を探しているだけなのかもしれないわけです。
【脱法おやつ】と認定されるのであれば、バナナでもドリアンでも、
ドラゴンフルーツでも構わないと考えている可能性があるんじゃかと思いますね。
さらに、この発言は【いつの時代の発言なのか?】という事も気になります。
この【バナナおやつ発言】を初めて提唱したキッズが、
昭和三十年代の子供だったとしたら、どうでしょう?
その時代、バナナは高級品でした。
普通の子供は、遠足なんかに持って行けなかったと思います。
その中で、この発言をすれば、
バナナがおやつに入るかどうかを尋ねるという目的を隠れ蓑に
『ボクは金持ちの子だから、バナナをおやつとして食べちゃってるんだぜ』という、
さりげない自慢が出来るという事になります。
案外、それが真の目的だったのかもしれませんね。
そして、この質問に対して『バナナはおやつに入ります』と先生が断定したとします。
「じゃあ先生、バナナの皮をむいて、
お弁当のおかずのポジションに入れても、おやつなんですか?」
「そんな事しても、バナナはバナナで変わりありませんから、おやつに決まってるでしょ」
「じゃあさ、じゃあさ先生、
おかずの酢豚に入ってるパイナップルとかポテトサラダに入ってるミカンとかは、
おやつに入るんですか?」
「いや・・・それは・・・おかずですよ」
「へえ~そうなんだ~!
という事は、バナナを甘酢にからめるかペースト状のジャガイモでコーティングすれば
おかず認定されるわけですね!?」
こんな会話が交わされてるかもしれませんね。
微笑亭さん太