木になる建物
高層ビルが立ち並ぶ大都市の中心部では、
鉄筋コンクリートの建物がほとんどというのは、今や常識です。
ところが、
その鉄筋コンクリートを中心に建てられてきた、国や地方自治体が整備する公共施設で、
木材の利用が徐々に広がってきてるそうですね。
これは公共建築物での木材利用を促す法律が施行された事をきっかけに、
各地で木造の公共施設が次々と建てられ始めているからなんですね。
二〇一〇年に施行された
【公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律】というのがありまして、
住宅に比べて木材利用の低い公共施設を対象に、利用の促進を謳ってるんですね。
建物に木材を多く利用する事で、林業を活性化させ、
森林整備に繋げる事が狙いの法律だそうです。
こういった木材利用を進める背景には、国内の林業の停滞というのがありましてね。
戦後に植林された人工林は、木材価格の低迷から資源としての有効利用が進んでいなくて、
あちこちで手付かずで放置された森林が目立ってるんですね。
そこで、どんどん木材を使いましょうという事のようですね。
ただ、この木材利用には課題もあります。
まず第一に、公共施設の建築に適した、長くて太い木材の供給が安定しないという事ですね。
大量注文に生産が追いつかず、流通経路も整ってないんですね。
その上、木造建築は設計や材料調達の費用が割高になりがちですし、
耐久性や耐火性にも劣るんですね。
建てる時は何ヶ月もかかっても、火をつけたら二十分って事はよくありますからね。
さらに、設計や検査を依頼できる人材が少ない事もあり、
木材利用の推進には、なかなか頭の痛い問題も多いようですね。
木材の利用を促すために、これからは建築物だけではなく、
色々な物に木材が使われるようになっていくでしょうね。
交通機関なんかでも【木製の大型旅客機】とかね。
全てのパーツが木材で出来てますから通気性が抜群なんですね。
「CAさん、この飛行機、随分すきま風が入ってくるね」
「はい、当機の機体は、宮大工の方々が、釘を一本も使わずに作り上げたものですから、
重要文化財にも指定されております」
「いや、それは逆に不安になるんですけど・・・墜落したりしないでしょうね?」
「大丈夫ですよ。海に墜落しても浮きますから」
こういう飛行機に乗りますと、乗客が乗った記念に、
機体の壁をカンナで削って持ち帰ったりしましてね。
どんどん壁が薄くなって穴が開きそうになると、修復しなくちゃいけないもんですから、
CAさんが客席に向かって
「お客様の中に、大工さんはいらっしゃいませんか?」
なんて呼びかけたりしましてね。
木製とはいえ飛行機ですから、ハイジャック犯の危険もあります。
こういう飛行機をハイジャックしようとするテロリストは、脅し文句も独特ですよ。
「全員大人しくしろ!妙なマネをすると、機内にシロアリを放つぞ!」
テロリストたちはコックピットを占拠しようとするんですが、
入り口の扉は、飛騨高山の匠がこしらえた寄木細工の扉ですから、
歯が立たなかったりするわけですね。
他にも、【木材を持ったプロレスラー】なんてのも出てきましてね。
『元気ですか~!?』と叫びながら、手に持った高級木材で相手の頬をビンタするという
【アントニオひのき】なんてのが登場してくるかもしれませんね。
微笑亭さん太