宅配ベビー
『できる限り簡潔な文でショートストーリーを作りなさい。
ただし次の三つの要素を入れる事。①宗教 ②性 ③ミステリー』という問題が出されたんですね。
なかなか難しい問題だったんですが、最も高得点を取った子の答えというのが、
『オーマイガー!妊娠しちゃったわ!父親は誰かしら?』
・・・確かに、簡潔に課題をクリアしてますよね。
世の中は皮肉なもので、赤ちゃんを切に望んでいる人たちのところには授からずに、
望んでもない人たちのところにできてしまって、大騒ぎになる事があります。
赤ちゃんというのは、
ミルクを飲んで成長すると思われがちなんですが、実はそうではないんですね。
それが証拠に、人間の赤ちゃんにミルクや栄養だけを与え続け、
コミュニケーションを一切取らないような状態に置くと、みんな死んじゃうそうですね。
まさに子供は『親の愛情』で育つわけでして、
親子のコミュニケーションは大切だという事ですよね。
ですからお子さんが折り紙なんか覚えたら、誉めてあげるといいですね。
「・・・あ、上手に折り紙が折れたね。これはペンギンかな?」
「うん、ペンギンさん」
「そうか、そうか。このペンギンさんはね、寒いところに住んでるんだよ」
と教えてあげたら、翌日、そのペンギンが冷蔵庫に入ってたって話がありますけどね。
そんな愛情いっぱいで育てられる子供もいれば、不幸な形で生まれてくる子もいるわけでして、
何年か前に、ナイジェリア警察が、病院施設を装って新生児を売買していた
『赤ちゃん工場』を摘発したなんという、大変にショッキングな事件がありました。
監禁されていた15~17歳の少女32人が保護されたんですが、
彼女たちは人身売買用の赤ちゃんを産ませるために監禁されていたんですね。
新生児の売買は児童就労や移植用の臓器摘出、性的虐待などが目的で、
ナイジェリアでは一日10人以上の子供たちが
売買されているという悲しい現実があるようですね。
こんな事は言うまでもなく論外なんですが、
少子化の叫ばれる日本でも、出生率のアップというのは急務です。
不妊で悩むご夫婦なんかに、赤ちゃんを作って届けてくれる商売があったらいいですよね。
「・・・あ、もしもし、『ベビーラ』さんですか?」
「はい、『ベビーラお届け!』でお馴染みのベビーラです」
「え~っと、男の子の赤ちゃんを一人注文したいんですけど」
「かしこまりました。サイズはS、M、Lとございますが」
「小さく産んで大きく育てろと言いますから、Sでお願いします」
「Sですね。トッピングはどうなさいますか?」
「そうですね。将来は画家か音楽家にしたいので、
芸術方面の才能をトッピングしてもらえますか?」
なんてんで注文して、じっと待つわけですね。
お届けが十月十日を過ぎると、半額になったりするんですね。
やっと届いたと思って見ると、赤ちゃんが二人いましてね。
どうやら旦那さんが『サイドメニュー』として
『隠し子』まで注文してたなんて事もあるかもしれませんね。
微笑亭さん太