謎生物の共演
「食べないと体がもたないのよね~。倒れちゃうといけないし」
てな事を仰るんですが、そういう方は、
空腹のため倒れる寸前になった事なんてない方ですよね。
食べなくたって、人間そんな簡単に倒れるもんじゃありませんからね。
ただ単に、ダイエットできない事に対する言い訳じゃないかと思うんですけどね。
以前、鳥羽水族館で飼われていた【ダイオウグソクムシ】という
深海生物が死んでしまった事が話題になった事がありました。
このダイオウグソクムシ、当時ニュースで度々取り上げられていたんですが、
とにかく一切、物を食べなかったんですね。
結局死ぬまでの六年間、全くエサを食べなかったんですけど、
体長や体重に変化はなかったそうですね。
ダイエットだったら、確実に失敗ですよね。
しかし、それだけ食べなかったんですから、死因は餓死だろうと思っちゃうんですが、
餓死ではない上、体内から正体不明の液体が発見されたそうですね。
この謎の液体が、ダイオウグソクムシの命を奪ったのではないかと言われましてね。
ですから研究者たちの間ではこの液体の事を【終着液】と呼んでいるそうですけどね。
世の中には、謎の生き物というのは他にもいるわけでして、
体長一・七ミリほどの【クマムシ】という生物がいましてね。
このクマムシ、ありとあらゆる極限状態に耐えられるという事で有名なんですね。
人間は水分が無ければ生きられませんが、クマムシは周りが乾燥してくると代謝を止めて、
クリプトビオシス(乾眠)と呼ばれる、無代謝の休眠状態に入るんですね。
体重の八十五%にあたる水分を三%にまで減らし、極度の乾燥状態に耐えるわけです。
ですから、世の女性がクマムシを手に取って乾眠状態になったら、
「・・・あ、私、乾燥肌だ」
と気付く事ができるわけです。
で、また水を与えると元通り活動し始めるんですね。
何しろ【日清】が、クマムシを見てカップヌードルを思いついたというくらいですからね。
しかも、百五十一度の高温から、絶対零度の低温まで大丈夫な上、
真空から七万五千気圧の高圧まで耐える事ができるんですね。
従って、クマムシの料理を作ろうと思っても、圧力鍋でも煮込めないわけですよ。
さらに凄い事に、高線量の紫外線、X線、ガンマ線にも耐えるんですね。
X線のヒトの致死線量は五百レントゲンなんですが、
クマムシは五十七万レントゲンに耐えるそうです。
これはもう、東電が原発作業員としての採用を考えるレベルですね。
不死身と言ってもいいくらいの耐性を持った生き物ですから、
別名【チョウメイムシ】とも呼ばれていたようですね。
これ、大きさが一・七ミリだからよかったんですが、もしも十七メートルだったら、
確実に世界征服されてるんじゃないかと思いますね。
これだけ悪条件に耐えるクマムシなんですが、ひとつだけ致命的な弱点がありましてね。
それは【指でつぶすと簡単に死ぬ】って事だそうですね・・・
まだまだ世の中には、謎の生態を持つ生物が沢山いるんでしょうね。
微笑亭さん太