昇進に傷心
建物とか、看板、広告など、目に飛び込んでくる物のデザインが、
ちょっと理解不能みたいな事も、時にはあったりしますよね。
「街歩いててさ、変なデザインの物とか見かける事ってあるだろ?」
「あるある。二度見しちゃうような物とかあるもんね」
「昔はさ、そういう謎デザインに
『このデザイナーは何考えてんだ?マジで、これでいいと思ってんのか?』って
腹立たしい思いをしたりしたけど、最近は何を見ても
『ああ、これは多分、こういうやりとりが裏であったんだろうなあ・・・』とか
『これは色んな人の後悔や諦めが見えるなあ』とか、
制作物の裏にある政治に思いを馳せるようになったから、腹が立たなくなったね」
人はそうやって【オトナの事情】という言葉を覚えていくんでしょうね。
企業などに勤めてらっしゃる方なら誰しも、出世したいと思ってるでしょうし、
出世するために働いてる方も多いと思います。
実際、時が経つにつれて、皆さんそれなりに出世していくわけですが、
会社などの組織構成員の労働に関する社会学の法則に【ピーターの法則】というのがありましてね。
これは『能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。
従って、有能な平構成員は、無能な中間管理職になる』というものですね。
どこの会社でも、
能力の無い平社員は、そのまま出世せずに平社員の地位に落ち着き、
有能な平社員は出世して、無能な中間管理職の地位に落ち着くんですね。
その結果、各階層は【無能な人間】で埋め尽くされるという考え方ですね。
【分相応】という言葉もある通り、
悲しいかな人には『そこまでは無理!』という事もあるわけですね。
【レベル3】までの仕事なら完璧にこなしていた人間が出世して
【レベル4】の仕事を任された途端【残念な人】になってしまう事もありえるわけです。
これは『高い地位=より難しい仕事』というわけではなく、
それまでの優秀なスキルが役に立たない仕事に変わってしまうという事もあります。
例えば工場勤務の優秀な職工の方が昇進して管理職になると、
これまで得た技術が新しい仕事に役立たず
【無能な管理職】になってしまうというような事ですね。
この問題を防ぐための手段としては二つあり、一つは
『次の段階の仕事をこなせる技術と仕事のやり方を身につけるまで、人材の昇進を控える』
という方法が挙げられますね。
例として『管理能力を示さない限り、部下を管理する地位に昇進させない』といった事ですね。
そしてもう一つは、
「竹下君、君を課長に推薦するという話、今回はお流れになったよ」
「えっ、どうしてですか!?納得いきません!」
「今のままの仕事を続けてもらって、給料をかなり増やすという事になったんだけど」
「・・・ありがとうございま~す!」
このように『昇進させない代わりに昇給させる』という方法でして、
やはり『地獄の沙汰も何とやら』という事でしょうね。
微笑亭さん太