書物ひらさか、読みの国
日本人の本離れというのは、相変わらず歯止めがかからないようですね。
特に難解な文章、深い知識が必要となるような
重厚な本の売れ行きというのは下降線を辿っています。
そんな中、健闘を見せていると言えるのが【ライトノベル】というジャンルでして、
これは主に若者向けに書かれた文庫で、比較的安価なんですね。
特徴的なのは、いわゆる【萌え絵】のイラストレーションや挿絵を多用し、
登場人物のキャラクターイメージや世界観設定を予め固定化している事で、
ドラマやアニメの原作となる事も多いんですね。
活字よりも漫画に親しんできた世代がターゲットだけに、
文章自体が渦を巻いていたり、雷型に書かれていたり、
ページ全体のビジュアルも斬新だったりします。
大人が見たら完全に【印刷ミス】のカテゴリーに入ってしまうような文体が
ウケているというのですから、本に対する考え方も変わってきたんですね。
本が売れない時代ではありますが、
図書館で貸し出される本の数というのは増えてるんだそうですね。
日本図書館協会によると、公共図書館の貸出点数は、
館数が増えている事もあり増加傾向だそうですね。
ただ増えてはいるものの、
借りる人は住民の三~四割で、しかも高齢者のに偏ってるようですね。
中には官能小説ばかり借りて、なかなか返さない人もいましてね。
「官能小説ばかり借りて、なかなか返さない人は変態ですか?」
「いえ、変態じゃなくて【延滞】です」
今、全国の色んな図書館で【夜の図書館】なる企画が行われてるそうですね。
これは本来の利用時間が終わり閉館した後、子供たちから預かったぬいぐるみが、
絵本を広げて見ている写真を撮ってプレゼントしたり、
演奏会やゲームを企画したりというもので、
子供たちの活字離れを防ぐのが主な目的のようですね。
どうせ【夜の図書館】と銘打つんだったら、大人にも楽しんでもらえるように、
飲み屋風の演出をしてみるのもいいんじゃないでしょうかね。
入っていくと美人司書の皆さんが出迎えてくれるわけですね。
「あら~社長さん、お久しぶりですぅ。今日は何読まれますか?」
「じゃあ今日は、トルストイでも開けちゃおうかな」
「まあ、気前がいいですね。・・・【戦争と平和】お願いしま~す!」
「おいおい、これはまた大長編だな。仕方ない、今夜は読み明かすぞ」
なんてな事を言いながら読書にふけるわけですね。
中にはちょっと悪質な図書館もあったりして、利用者が帰る段になって、
「ありがとうございます。こちら、よろしくお願い致します」
「・・・えっ?おい、短編集二冊で、感想文五万枚って何だよ!
こんなの、ぼったくりじゃないか!」
こんな図書館には行かないように、気をつけていただきたいですね。
微笑亭さん太