怖いのは饅頭ではなくて電話
せっかく就職したのに、入ってもすぐに辞めてしまう人たちもいますよね。
最近、入社後一年未満で仕事を辞める人たちの離職理由として聞かれるようになったのが、
『電話に出られない』という事でしてね。
この十年ほどで激増しているようですね。
電話に出ようとするだけで、緊張が走り体調が悪くなるそうでして、
最終的には職場に行かなくなってしまうわけですね。
そう聞くと、極度の対人恐怖症かと思うんですが、
電話以外のコミュニケーションには問題がないので、決してそうではないんですね。
この大きな原因のひとつに『固定電話の減少』というのが挙げられます。
固定電話のある家庭は、年々減っていて、平成生まれの若者たちの中には、
子供の頃、家の固定電話に出た事がないという人も珍しくなくなってきてるんですね。
出た経験のある人も、ナンバー・ディスプレイの表示により、
『知っている人からかかってきた時にのみ出る』という傾向が強く、
誰からかかってきたのか判らない電話への対応を全く経験してなかったりするんですね。
必然的に『取り次ぐ』とか『伝言を受ける』などの経験もなく、
経験値ゼロのまま社会人になっちゃってたりするので、
『電話が怖い』という事に行きついてしまうわけですね。
「顔も見えない相手と電話するのがメチャメチャ怖いのは、当たり前だよ」
「でも、顔も見えない相手とメールやり取りして、会ったりするんだろ?」
確かに矛盾している部分もありますよね。
さらに仕事としてのみならず、そもそも電話自体が苦手というケースも増えてるようですね。
メールやラインなどの文字ツールが主流となった昨今、
親しい友達とも文字でのやり取りが主流になり、よほどでないと電話をしないようですね。
2019年度卒の社会人を対象にしたアンケートでは、
友人との連絡に電話を使うという割合は、1%しかいないという結果が出てますから、
昭和生まれの【電話命】の世代にとっては信じられない感じでしょうね。
それでも電話しなければならない場合、最近の若者の傾向としては、
『電話をする前には、ラインやメールで電話をしてもいいかどうか確かめる』
というのが多数派になりつつあるようですね。
「電話って、相手の時間を一方的に奪うわけだから、
電話していいかどうかの許可は取るのが当然だと思ってたよ」
「俺もそう思うんだけど、ある世代より上は、
電話する前にメールで連絡を入れるのは理解できないらしいよ」
「そうみたいだね。
だから俺は、年配の上司のところに電話する場合には、一回電話して
『あ、すみません、今電話してもいいですか?』『あ、大丈夫だよ』ガチャ
・・・それから電話する事にしてるよ」
もう何が何だかよく判らない状況になったりしてね。
微笑亭さん太