黒酢はよくても、クローズはダメ
めでたく志望校に合格できた子たちも、学校に通えてなかったりしますよね。
毎年、受験シーズンが終わると
江戸時代でもないのに、街中に『浪人』が溢れる事になりますよね。
ただ最近は、少子化の影響もあって、浪人の絶対数は減ってきてますよね。
それどころか大学によっては、
キャンパスを見学しただけで合格を出す学校があるそうでして。
昔はよく、『偏差値の低い大学の試験は、願書に【当たり】って書いてあったら合格』
なんて『ネタ』がありましたが、今やそれが現実に近くなってるんですね。
しかし、いくら少子化で生き残りが大変だからといって、
住宅展示場見に行ってるわけじゃないんですから、
『私、ここに決めようかしら』みたいな感覚で合格が決まってしまうのも、
いかがなものかと思ってしまいますね。
そういった若者や子供たちの中に、
年々『クローズ人間』と呼ばれる人たちが増えているようですね。
『クローズ人間』というのは、前かがみになったり、腕で自分の体を包み込んだり、
他人と視線を合わせない、体を硬直させる、表情に乏しいなどのポーズを取って、
外界との接触を拒む人の事を言うんですね。
つまり、自分をクローズしてしまうのが『クローズ人間』で、
古い下着をつけた中高年女性を『ズロース人間』というわけですね。
このようなクローズ人間が増えた理由というのは、
情報化社会と呼ばれるほど、現代社会に情報が溢れすぎてるからなんですね。
インターネットなど、
私たちの処理能力が到底追いつかないほどの情報が氾濫している状況を
『過剰負荷環境』と呼ぶそうでして、その『過剰負荷環境』の中で生きていくため、
自分をクローズして、多すぎる情報から身を守るようになったわけですね。
それから、『幼少期の押し付け教育』にも、原因の一端があると言われています。
クローズ人間には『短時間処理』『情報の排除』『責任回避』『他者の利用』という、
四つの特徴があると言われてます。
『短時間処理』というのは、必要最小限の事だけを手短に伝えればいいと考えるわけで、
敬語や丁寧語を省いた、どこかぶっきらぼうな受け答えをするんですね。
道なんかを聞かれても『あの~、駅は・・・』『あっち』としか答えないんですね。
『あの~、駅は』『あっち』
『あの~、病院は』『こっち』
『あの~、奉公人は』『でっち』
『みなしごは』『ハッチ』てな具合ですね。
それから、自分にとって都合の良い情報はしっかりと取り入れ、
それ以外の、自分には不要、もしくは不都合のある情報は無視するという『情報の排除』、
何か問題が起きても、人のせいにしたり、誰かが解決する、といった他力本願な考え方で、
自分からは動こうとしない『責任回避』、
自分と何かの間で問題が起きても、自分自身では解決しようとせず、
自分以外の誰かを間に入れて、直接接触を避ける『他者の利用』といった特徴ですね。
こういうクローズ人間が噺家になったら大変ですよ。
ぶっきらぼうで短時間処理の性格ですから、高座に登場して座布団に座って仏頂面で一言、
『落語やるから・・・』マクラも何も喋らずに、
いきなりオチだけ言って高座を下りてきちゃうんですね。
他にも、笑ってるお客さんしか見ない『情報の排除』、
笑わないお客が悪いと考える『責任回避』はもちろんの事、
直接接触を避けますから、一旦落語を録音して聞かすとか、
動画をメールでお客さんに配信するといったように、
『他者の利用』を図ったら、お客さんは怒るでしょうね。
微笑亭さん太