知りすぎている相棒
目的地の名称や住所、電話番号を入力すれば地図や音声で道順を案内してくれる
『カーナビ』というのは、本当に便利な物ですよね。
一九九〇年に、衛星利用測位システム、
いわゆる『GPS』を使った世界初のカーナビが市販されてから、
三十年が経つわけですが、その間に飛躍的な進化を遂げ、
単なる『道案内役』から脱却しましたよね。
カーナビが発売された当初は、車の位置測定や地図の精度も悪かったんですね。
ですから、うっかりカーナビの言う事に従って運転していくと、
行き止まりになっちゃいましてね。
どうしようかと思ってると、
『左折して下さい』なんて無理難題を要求したりして、
カーナビ自体が袋小路みたいな状態だったんですね。
情報を保存するメディアも、容量の少ないCD-ROMで、
交差点や飲食店、宿泊施設の情報も一万一千件と格段に少なかったんですね。
その後、保存するメディアも、DVD、ハードディスクと大容量化して、
数千万の情報を持つのが当たり前となっていったわけです。
さらに、渋滞情報などを刻々と表示する『道路交通情報通信システム』や、
燃費をよくする『エコ運転機能』も装備し、音楽再生はもちろん、
DVDやテレビの視聴・録画などの機能も充実してきて、
これは本来、何の機械だったのかが判らない状態になってきてます。
あまりにもカーナビが優秀すぎるというのもつまらないですから、
『若干自信のないカーナビ』なんてのも出てくるかもしれませんね。
【(ポ~ン)多分、右折です】
「多分?多分じゃ困るんだよな」
【(ポ~ン)この先、渋滞してる気がします・・・
左折した方が行ける可能性が高いと思います・・・間もなく目的地周辺ですか?】
「聞くな!カーナビなんだから、ちゃんと案内しろよ」
【(ポ~ン)暫く、休ませて下さい】
こんなカーナビは困りますね。
アキバ系好きの方用に、『ツンデレカーナビ』なんてのもありましてね。
【(ポ~ン)べっ、別に、目的地を教えてあげるわけじゃないんだからねっ!
・・・(ポ~ン)ちゃんとしなさいよね!・・・(ポ~ン)私に聞くなんて、百万年早いわよ!
・・・(ポ~ン)この先、ど~っちだ?
・・・(ポ~ン)ねえ、もうちょっと一緒にいたいから、右折していい?】
これはマニアの方は萌え死にするんじゃないですかね。
あと、自殺願望のある方のための『あの世カーナビ』ってのもありましてね。
【(ポ~ン)このまま真っ直ぐで海です・・・
(ポ~ン)右側の林に、枝っぷりのいい木があります・・・
(ポ~ン)左側の薬局で睡眠薬が買えます・・・
(ポ~ン)その隣のコンビニ、切れ味抜群のカッターナイフ入荷したてです】
なんてんで、富士の樹海が近づくと、
【目的地周辺です・・・(チ~ン)】
これは、地獄までのナビは完璧ですよね。
微笑亭さん太