罪人をも救う神
人の物を盗んで儲けようと企む人たちは全世界にいるわけですね。
これは海外での話ですが、
三十六歳の男性が銅線を盗もうと画策して変電所に侵入しましてね。
銅線というのは結構いいお金になるようですね。
ところがこの泥棒、盗みの途中で尿意をもよおして、
何を思ったのか変圧器に向けてオシッコをしちゃったんですね。
電気系統に水をかけるのがデンジャラスだというのは素人でも判りそうなものですが、
排泄の欲求は止められなかったんでしょうか、【破滅への放水】が始まったわけです。
それにより変圧器はもちろん爆発、泥棒にも引火してひどい火傷を負い、
さらに二千人規模の停電が発生しちゃったんですね。
まさにこれが本当の【ショートコント】というやつでしてね。
火傷した泥棒の方は自業自得で仕方ないんですが、
停電被害に遭った住民の方々はいい迷惑ですよ。
逮捕されたその泥棒、取調室でもって
「変圧器にオシッコなんかかけたら、
こうなる事ぐらい予想がついただろ!?お前はバカか!!」
と警察官の方から【カミナリ】を落とされたって話がありましてね・・・
ただ、当人も変圧器にオシッコをしてしまった事を凄く反省したようで、
裁判所での判決は【執行(シッコー)猶予】が付いたらしいですけどね。
全国各地にある神社では【賽銭泥棒】の被害が絶えなくて頭を悩ませているようですね。
確かに日が暮れてからの神社の賽銭箱というのは無防備ですから、
ついつい良からぬ事を考える罰当たりな人がいるんでしょうね。
豊橋市にある【牛川浪ノ上稲荷社】という神社も、
これまでに十回ほど、賽銭泥棒の被害を受けていたんですが、
ある事を始めてから、被害は止んだそうですね。
そのある事というのは【泥棒宛ての手紙】でしてね。
神主さんは封筒に
『あなたにも何かきっかけを作ってあげたくて、この手紙を書いています。
あなたもきっと変われます』という泥棒宛ての手紙と千円札を入れて、
賽銭箱の中に入れたんですね。
するとその翌日、賽銭箱を開けてみると封筒はなくなっていて、
その代わりに沢山の一円玉が入っていて、そばにあったノートには
『全ての賽銭を返します』と書かれてあったそうですね。
神主さんは『泥棒を捕まえるのが目的ではなく、更生してもらおうと思い、
手紙を書いた』と仰ってますが、そういう真心というのは誰にでも伝わるものなんですね。
泥棒の被害に遭わないためには、住んでいるところの近くに交番があると心強いですよね。
「あの~すみません、このあたりに交番はありますか?」
「交番ですか?いえ、このあたりにはありませんね」
「本当にありませんか?」
「ええ、ありません」
「そうですか・・・そりゃよかった。おい、金を出せ!」
と言ってナイフを突きつけられたって話がありますが・・・
本当に油断できない世の中になりましたよね。
微笑亭さん太