訴えられたら、心臓止まりそう
それを見ていた人は『助けたい!』と思うのが人情ですよね。
心停止となった人の心臓の動きを正常に戻す医療機器と言えば
【AED】である事は、今や誰でも知っています。
心停止というのは一刻を争う事態ですから、
近くにAEDがあれば迷わず使いそうなものですが、
『倒れた人が女性だと、男性よりAEDが使われにくい』という調査結果が、
このほどまとまったそうですね。
その理由というのは
『女性の服を脱がせてAEDを使う事に抵抗や恐れがある』という事のようですね。
京都大学などの研究グループが、
全国の学校の構内で心停止となった子供232人について、
救急隊が到着する前にAEDのパッドが装着されたかどうかを調べたんですね。
この十年ほどの間に、学校へのAEDの設置が進んでいて、
もしもの時にはすぐに使えるケースがほとんどでして、
小学生と中学生では男女に特別な差はありませんでしたが、
高校生になると大きな男女差が出ているんですね。
AEDのパッドが貼られた割合は高校生の場合、
男子生徒が83・2%に対して、女子生徒は55・6%と、
その差は30ポイント近くになるんですね。
AEDのパッドは二枚あり、右胸の上と左の脇腹に直接装着するんですね。
ですから倒れた人が女性の場合、素肌を出してAEDを使う事に、
一定の抵抗感があるのではないかと、研究グループは分析してましてね。
「俺さ、倒れた若い女の子にAEDを使った事があるんだけど、
助けるためとはいえ、服を脱がす事には凄く抵抗があったし、
女の子は胸があるから、正直どこへパッドを貼っていいか悩むんだよね」
「あ、俺も女の子にAED使った事あるけど、パッドを付けようと思って脱がせたら、
もう既に女の子の胸に、分厚いパッドが二枚あったんだよね」
これは女の子にとってはまさに、死ぬほど恥ずかしいのかもしれませんね。
女性へのAEDの使用をためらわせる理由のひとつに、
『AEDを使って女性を助けた男性が、その女性から訴えられた』という
まことしやかな噂が、ネット上で飛び交ったなんという事もあります。
実際は善意で人を助けるという救命処置の場合は、
対象者を害するという悪意などがない限り、民事責任を問われる事はありませんし、
罪になる事もありませんから、ためらいなく使っていただきたいですね。
そもそもAEDの使用時には、服を全て脱がす必要はないんですね。
AEDは電源を入れて二枚のパッドを素肌に貼りますが、
下着をずらして貼る事で対応できますし、パッドを貼った後、
その上から服などをかけて肌を隠すようにしてもAEDの機能に影響はないんですね。
また周りの人たちが人垣を作って、
中の女性を見えないようにするという配慮の仕方もありますね。
「おい、女性が心臓麻痺で倒れたぞ!
AEDを使うから、みんな女性の周りに人垣を作れ!」
なんてんでグルッと壁を作ったら、みんな男性は外を向いてるのに、
一人だけよだれを垂らしながら中を向いてたら、この人はきっと、訴えられるでしょうね。
微笑亭さん太