晒し者になりたい
同時にプライバシーの侵害に繋がりかねませんから、
そのあたりに注意が必要ですよね。
盗撮の被害は毎日のように起こってますし、
それが一旦ネットなどに晒されてしまうと、
消しようがありませんからね。
ある鉄道会社に
『電車の中で化粧をする女性が多くて目に余る。何とかしてくれ』
というクレームが多数寄せられましてね。
車内アナウンスで注意喚起してみるんですが、一向に減らない。
困り果てた鉄道会社が『電車内で化粧をしている女性を盗撮して
【化粧前】と【化粧後】を並べてネットに晒す事件が相次いで起きています。
怪しい人を見たら至急、駅員室まで通報してください』という貼り紙をしたら、
化粧をする女性がパタッといなくなったって話がありましてね・・・
これはなかなか良い手ですよね。
「一ヶ月で十三万二千九百三十円受け取る代わりに、
自宅の浴室以外の全て、死角なしでカメラを設置されると言われたら、やりますか?」
こういう問いかけをされて『やります』と答える人は何人くらいいるんでしょうかね。
映画やドラマの究極の選択としても出てきそうなこの問いを、
実際に検証する社会実験が昨年行われたそうですね。
この実験は何のために行われるのか、
この金額はどういう意味があるのかと思われるでしょうが、
『東京都内二十三区の三十歳前後の人々に支給される生活保護費用
十三万二千九百三十円を提供する代わりに、私生活データを動画で収集し、
消費者行動データとして価値を作る』というプロジェクトなんだそうですね。
これを企画した会社は、情報が金銭的に大きな価値をもつデータ資本主義、
あるいはデータ経済の可能性と課題をあぶり出す取り組みを行っており、
この企画はその一環なんですね。
取得した動画データは、
有識者や消費財メーカーを始めとした企業へのヒアリングを通して、
この実験を一万人規模で行なった場合、
一人当たりの売上がいくらになるかを推定するのに使用するんだそうですね。
「今回のプロジェクトに応募されたそうですね?
ずっと私生活をカメラで撮られている事に抵抗はないんですか?」
「凄くありますね」
「えっ、じゃあどうするんですか?」
「大丈夫ですよ。
十三万ちょっと貰えますから、その中から五、六万出して、他のアパートを借りるんで」
これじゃあ実験の意味がないですけどね。
「実験のデータは集められたのか?」
「それが社長、データは全く役に立ちませんでした」
「どうしてだ?ちゃんと部屋の中の撮影には成功してるんだろ?」
「はい、そうなんですが・・・実は被験者が部屋の中にテントを張って暮らしてたんですよ」
プライベートが晒されるというこの実験に、応募者は現れるのかと思ったら、
意外にも応募者が殺到したんだそうですね。
ただ、その応募者が全員【露出狂】だったって話がありまして・・・
こういう方はきっと、自分からカメラに向かって股間を押し付けてきたりするんでしょうね。
微笑亭さん太