白昼の憂鬱
人というのは、ついつい出来心で物を盗んでしまうなんて事もあったりします。
学校の教室で盗難事件が起こったりすると、
それに対する先生の対処の仕方というのが問われたりしますよね。
「みんな聞いてくれ。実は山田の給食費が盗まれた。
もしも盗んだ人間がこの中にいるのなら、正直に名乗り出てほしいと思う。
みんな、目を閉じてくれ。山田の給食費を盗んだ者は正直に手を上げるんだ。
誰にも言わないから心配しなくていい・・・
こら!中村!ちゃんと目を閉じろと言っただろ!
・・・宮田、いったん手を下ろせ・・・
もう一度言うぞ。山田の給食費を盗んだ・・・中村!目を閉じろ!何度も言わせるな
・・・何度もすまんな宮田、手を下ろしてくれ。もう一度言う・・・」
これはもう、目を閉じる意味がないですね。
「小学校での一番楽しい時間は何ですか?」
こんな質問をしたら、
【休み時間】と並んで上位に来ると予想されるのは【給食】でしょうね。
誰でも、給食に出ると嬉しいメニューが幾つかあったんじゃないかと思います。
しかし、そんな楽しいはずの給食の時間に
苦しんでいる子供たちもいるんですね。
先生から『残さず食べなさい』と言われ、
無理に食べさせられたり、給食の時間が終わっているのに、
ひとりポツンと教室に居残りをさせられてる子がいたりします。
こうした【完食指導】の行き過ぎで、体調不良や不登校になるケースが相次ぎ、
中には、大人になっても苦しみが続いている人がいるんですね。
「俺は子供の頃、ピーマンが食べられなかったんだけど、
担任の先生は食べるまで絶対に許してくれなくて、ニヤニヤ見てたんだよな~」
その先生がピーマン以上に【食えないやつ】だったりするわけですね。
食育なんて言葉もありますが、
給食にも教育的な側面はあるんでしょうね。
「給食というのは、ただ食事をするだけではなく、給食を通して子供たちに、
大人になるための大切な教育をしているんですよ」
「そうなんですか?」
「例えば太ってる子には、『〇〇君、残ってるおかず食べる?』って、
先生が残り物を勧めてきたりするでしょう?
あれは、【ダイエットの必要性】をほのめかしてるんですよ」
「そうなんですか?
じゃあ午後の授業が始まっても、泣きながら食べさせられている子は?」
「【残業の辛さ】を教えてるんですよ」
「なるほど。給食当番をやっていると、友達に小声で
『俺の分、増やして』と頼まれたりする事もありますが」
「言われた通り量を増やしてあげれば、その子が給食当番になった時には、
今度は自分の分を増やしてもらえますから、
【世の中、持ちつ持たれつ】だという学習ですね。
そしてジャイアンみたいなガキ大将タイプには、
言われなくても、こちらで気をきかせて量を増やしてあげる・・・
これは【忖度の重要性】を学んでいるわけですね」
「はあ~なるほど。
人気のメニュー、特にプリンが余ったりすると、
クラスで取り合いになって大騒ぎになったりする事がありますよね?」
「ありますね。子供の時には【プリンで学級崩壊】、
大人になると【不倫で家庭崩壊】という事です」
本当かどうかは怪しいですけどね。
微笑亭さん太