血吸い産業です
あまりありがたくない風物詩といえば『蚊』ですよね。
タップリと血を吸って、メタボ状態になった蚊をバチッと叩いたため、
二の腕が、ちょっとした『殺人現場』みたくなってる人を見かけたりします。
よく『刺されやすい血液型がある』なんて事が、まことしやかに言われたりします。
世間一般には『O型が刺されやすく、A型が刺されにくい』と言われてるようですが、
科学的根拠は、ほとんどないそうですね。
蚊というのは、二酸化炭素の密度が高く、
周りより温度が高いところへ向かう習性があるそうですから、
体温が高く呼吸回数が多い人は特に刺されやすいわけですね。
ですから、運動をした後、ビールを飲んでる人なんてのは、
蚊にとっては『フルコース料理』みたいなものなんですね。
また、上半身より足の方が刺されやすいそうでして、
というのも、足のにおいが大好きなんだそうですね。
靴を脱いだ途端、異臭騒ぎが起こりそうなお父さんの足でも、
蚊にとってはフローラルな香りに思えてるんでしょうね。
蚊というと、あの『プ~ン』という不快な羽音が有名ですが、
三十歳以上の成人になると可聴音の範囲が狭まり、
蚊が出す高音域の羽音を聞き取ることが難しくなるんだそうですね。
当然、接近しているのが判らずに刺されやすくなるわけで、
「私、よく蚊に刺されるんだけど、刺されやすい体質なのかしら?」
なんて仰ってる方は、体質ではなくて、ただ単に『年を取っただけ』って話なんですね。
蚊を退治するグッズといえば『蚊取り線香』ですが、
蚊取り線香というのは元々、除虫菊という植物が原料になってるんですね。
・・・除虫菊(女中菊)と言うと、何だか井戸の中から出て来て、
夜ごと皿の数を数えてそうですけどね。
実はこの蚊取り線香、
蚊を寄せ付けない忌避効果はあっても、殺虫効果はないという、
『奥ゆかしい兵器』なんですね。
そして、この線香を入れる、
ブタの形をした『蚊遣り』というのも風情がありますよ。
ブタの蚊遣りは江戸時代からあったらしいんですが、
この時代には豚を食べるという習慣が日本には定着していないので、
『ブタ=猪』であったのではないかと言われてますね。
『猪』のはずが、途中から何故かブタになっちゃいましてね・・・これがいわゆる、
『ボタンの掛け違い』というやつですね。
あと『蚊帳』というのも見かけなくなりましたよね。
『あの蚊帳こそが、日本のエロチシズムだ』と主張してる方もいらっしゃいまして、
確かに、蚊遣りブタを置いた蚊帳の中で
寝ている浴衣姿の女の子に夜這いをかけるというのは、
日本男児の憧れのシチュエーションですよね。
そういう『何かで囲って、非日常的空間を作る』というのは良いアイデアですから、
『蚊帳を吊ったラブホの部屋』なんてのも出てくるかもしれませんね。
他にも『回りをお濠で囲まれた部屋』ですとかね。
一晩ゆっくり過ごして、ほとぼり(外濠)がさめた頃、ホテルを出るわけですね。
あと『有刺鉄線で囲まれた部屋』とかね。
回りに高圧電流が流れてるもんですから、
きっとシビレるような一夜を過ごせるんじゃないでしょうかね?
微笑亭さん太