マイマイブーム
梅雨時に映える紫陽花に相性がいいのは【カタツムリ】でしょうね。
『♪でんでんむしむし かたつむり』と童謡に歌われているように、
カタツムリは【でんでん虫】とも呼ばれています。
なぜ【でんでん虫】なのかというと、カタツムリは、
体をつつくなどの刺激を与えると、頭を引っ込めてしまう生態がありますよね。
そのユニークな生態に興味をもったのが子供たちです。
刺激によってカタツムリがカラに閉じこもってしまった様子を見て、
『早く頭を出してよ!』という意味を込めて、
『出よ出よ』とカタツムリに話しかけた事から、
『出よ出よ』が『でんでん』に変化していったという説が有力なようですね。
このところ【中高年の引きこもり】というのが問題になってますよね。
昔は引きこもりと言えば十代、二十代の若者と相場が決まっていたわけですが、
その年代が引きこもったまま成長してしまったのか、
四十代、五十代の引きこもりが激増しています。
そういった中高年の引きこもりが
事件を起こしたりして社会問題化しているわけですが、
引きこもりというのは、どこかカタツムリに似ている気がしますね。
「サトシちゃん、サトシちゃん、たまにはお部屋から出てきたらどう?
ねえ、サトシちゃん・・・」
家族がいくらドア越しに呼びかけても【全然無視】ですからね。
「ねえサトシちゃん、お母さんと一緒にカラオケでも行きましょうよ。
あなた、歌が好きでしょう?ほら、一緒に歌いましょうよ。
♪全然無視無視 引きこもり~ お前の未来はどこにある?
メシ出せ 金出せ 部屋を出せ~」
これは逆に出辛いかもしれませんけどね。
「そういえば、三丁目の矢島さんとこの息子さん、引きこもりなんですって?」
「そうなのよ~。しかも【カタツムリ型の引きこもり】なのよ」
「カタツムリ型の引きこもり?何それ?」
「常に背中に大きなカラを背負って移動してるのよ。
それで都合が悪くなると、その中に引きこもるみたい」
「へえ~。じゃあ引きこもりと言っても【歩く引きこもり】みたいな感じね」
「そうそう。でもそんなんじゃ、いつまで経っても自分のカラを破れないわよね」
「・・・石田さん、山口さん、こんにちは」
「あら、矢島さんの奥さん、こんにちは。
最近、息子さんの様子はどうですか?」
「喜んでください。ウチの子、引きこもりじゃなくなったんですよ」
「えっ、カラから出てこられたんですか?」
「はい、カタツムリのカラから出て、ナメクジになりました」
これはあまり喜べないですよね。
微笑亭さん太