畳む職人の誕生
家事をこなされている主婦の方々には頭が下がりますが、
育ち盛りの男の子などが多いご家庭では特に
洗濯が大変じゃないかと思いますね。
毎日泥だらけになって汚してくる服を
大量に洗わなくてはいけませんからね。
全自動洗濯機なんてものがある世の中ですから、
昔から比べたら楽にはなったんでしょうが、
それでも絶対に手作業でやらなければならない事はあります。
洗濯物を干したり、取り込んだりという作業が、そうですね。
「洗濯物を取り込むのって面倒よね~。
何か効率的に取り込む方法はないかしら?」
「それだったら奥さん、いい方法があるわよ。
ほら、よくニュース番組の季節の話題で、
果物とか野菜の収穫の映像が流れたりするでしょう?
そんな感じでやるといいわよ」
「どういう事?」
「洗濯物を取り込む時に『こちらの家では今、
靴下の収穫が最盛期を迎えています』と言いながら取り込むと、
不思議なくらい気分が上がってどんどん取り込んじゃうわよ。
タオルなんかも、ベテラン職人みたいな手つきで畳んじゃうし」
「なるほど!
取材されてる側になりきってやるのね。それはいいわね~」
なんてんで、試した奥さんがいましてね。
「奥さん、この間のあれ、やってみた?」
「やってみたわよ。
ニュース番組の設定なので、インタビューに答える設定で
『今年の洗濯物は、例年よりも油汚れが少なくて良い仕上がりになってますね~』
なんて独り言言ってたら、おかしくなったかと思われて、
旦那に救急車呼ばれちゃったわよ」
この方法を試す時には、まず家人の理解を得ておく必要があるみたいですね。
信州大工学部の知能ロボット学の准教授が、
衣類を畳むといった生活支援につながるロボットの実用化に向け、
布を動かした時の形の変化を
AIで予測する基礎技術を開発したそうですね。
持ち上げると形状が変わる布などの柔軟物を
ロボットが扱うのは難しいとされてたんですが、
実用化の道が開ければ、家事や産業分野などで
活躍の幅が大きく広がると期待されてましてね。
平たく言えば【洗濯物を畳めるロボット】の誕生という事になるわけですよ。
ロボットは現在、
タオルやTシャツを畳む事ができるまでにはなったそうですが、
実用化までには、まだまだ研究の余地がありそうですね。
「私は将棋の羽生さんや藤井君より優秀って事ね」
「お前が羽生さんや藤井君より優秀だと?どうして?」
「超一流の棋士たちが束になってかかっても勝てないAIが、
いまだに満足にできない【洗濯物を畳む】って仕事を、私は軽々とできるんだから」
確かに奥さんの言う事にも、一理あるかもしれませんね。
このまま技術が進んでいけば洗濯に関する工程を、
全てロボットがこなせるようになるでしょうね。
洗濯をして、それを干して、洗濯物を畳む事までやってくれるという・・・
その頃には、クリーニング屋さんがみんな、
店を畳むなんて事になりかねないですよね。
微笑亭さん太