読んで、読んで、読まれて読んで
ダイエット食品の通販を見ていると、出演者が満面の笑みで
『これで元気になりました!』とか
『あっという間に十キロ痩せました!』などと言っている一方で、
画面の下の方に小さな文字で
『効能には個人差があります』的な文章が出ていたりしますよね。
ただ出てはいるんですが、その文章を読もうとすると、
すぐに消えてしまったりするんですよね。
明らかに、読まれる前に消してるとしか思えません。
あれは、捕まらないように、チラッと見せただけで肝心なところを隠してしまう、
昭和時代のストリップ劇場みたいなものですね。
保険などに入る際、
契約者と保険会社の間で締結する契約の内容について書かれた文章の事を
【保険約款】と言いますよね。
この保険約款というのがまた、物凄く小さな字で書かれてますよね。
一旦契約してしまったら、
約款に書かれてる事を全て承認したと取られますから、
何かトラブルがあった時、『そんな事知らないよ』と言っても、
法的には通じないわけです。
だからあの文字はわざと小さくしてるんじゃないかと思ったら、
本当にわざと小さくしてるそうですね。
出版印刷業界の方によると、あの手の約款を作る際、
依頼元から『どこまで小さく印刷できますか?』と聞かれるそうですから、
契約者としてはたまったもんじゃないですよね。
あるデータによると、最も読みやすく書かれた保険約款の理解でも
十四年の教育が必要だという事なんですね。
十四年という事は、少なくとも短大卒業レベルの学力が要るという事ですよ。
最も難しく書かれた保険約款に関しては、
十九年の教育が必要らしいですから、
四大卒でも無理という事になりますよね。
ですからそういう保険に入りたいと思う方は、
とりあえず博士号を取得した後、
保険約款を読んでいただくという事をオススメしますね。
「あんな小さくて意味不明な難しい文章、
全部読む奴なんて本当にいるのかよ?」
「この前、全部読もうとチャレンジしてみたら、
約款の途中に【ハズキルーペ】の広告が載ってたよ」
「俺は一回も読んだ事がないけど、
契約した保険のお姉さんのフェイスブックは、いつも全部読んでるよ」
色んな方がいるようですが、
やはり約款をちゃんと読む人はいるようですね。
これは海外の話ですが、高校の教師をしているアンドリュースさんという方が、
友達六人でフロリダ旅行をするために旅行保険に入ったんですね。
例によって保険約款は、細かい文字でびっしりと書かれていたんですが、
元々彼女は、規約や契約書などの細かい文字まで読むタイプだったようで、
その保険約款も全て読んだんですね。
するとその約款の後半に
『もしもここまでお読みになられたなら、あなたは弊社のお客様の中で、
契約内容を読む数少ない一人だと思われます。
最初に弊社のメールアドレスに、ご連絡いただいた方には賞金を差し上げます』
と書かれていたんですね。
彼女がメールをしてみると一番乗りだったようで、
見事に賞金の一万ドルを手に入れたそうですから、
保険会社も粋な事をしますよね。
やはり保険約款は、ちゃんと読まなくてはいけないという事でしょうが、
知り合いの間では噂になったでしょうね。
「彼女、保険約款を読んだだけで一万ドルも手にしたそうよ」
「そんな事で大金を手にいれるなんて、おかしいわよ」
こういうのを【約款み】と言うそうですね。
ある学校で、
いつも『試験では最初に、問題をさっと最後まで目を通しなさい』
と仰ってる先生がいましてね。
それは、よく知っている問題から取りかかり、
難しい問題は後回しにするようにという意図で言っていたわけですね。
ある時その先生の試験で、
ほとんどの生徒が、最初の問題から順番に問題を解いていったんですね。
そして最後の問題にたどり着くと、そこには注意書きがあり
『おめでとう、もし試験を始める前にこれを読んでいたら、
氏名だけ記入して提出しなさい。
満点をあげるよ』と書かれてありましてね・・・
ほぼ全員が引っかかったそうですが、なかなかシャレの判る先生もいるんですね。
微笑亭さん太