猫たちの宴

「まあまあ、トラさん、もう一杯いきニャしょう」
「いや…もう飲めニャいよ」
「ニャンだ、今日は陥落するのが随分早いですニャ~」
「うん…小市民寄席ってのを見に行ったら眠くニャッちゃってさ」
「小市民寄席って、天狗連の連中が公会堂で、
7/10(土)午後5時からと、11(日)の午後2時から
2日公演で行う寄席ですか?」
「そうそう、連中の落語聞いてるうちに、眠くニャッちゃってさ」
「へえ~。で、その天狗連の落語は面白かったんですか?」
「……君、その質問はおかしくニャいかい?眠くニャッたって言ってるのに」
「ああ、そうですね。…ネコがネコんだって、大笑い!ニャッ、ニャッ、ニャッ…」
「それだけクオリティの低いダジャレを、久々に聞いたニャ~」
「それはそうと、昨日は七夕でしたね」
「ニャに?」
「七夕。…あ、トラさん、まさか七夕を知らニャいんですか?」
「バカにするんじゃニャいよ、知ってるよ。
『思いがけニャい幸運が巡ってくる』って事ニャろ?」
「…それは『たなぼた』です。七夕というのは、年に一度、織姫と彦星が…」
「知ってる、知ってる。冗談でボケただけニャ」
「あの織姫と彦星の二人が、
『恋人同士』だと勘違いしてる人が8割もいるらしいですニャ~。
本当は『夫婦』ですからニャ」
「そうか。しかし、年に一度しか逢えニャい夫婦も可哀想だニャ~。
七夕には織姫が、
手料理の『肉じゃが』とか、『筑前煮』とか、『煮浸し』を持って
夫に逢いに行くんだろうニャ」
「…『肉じゃが』、『筑前煮』、『煮浸し』って、ニャンだか煮物ばかりですね」
「うん、『煮た物夫婦』というぐらいだからニャ~」
「ニャンですか、それは」
「しかし、天狗連の落語も、七夕みたいニャ芸と言えん事はないニャ」
「どうしてですか?」
「彼らの下手クソな落語は、『プロ』ではなく『アマの側』(天の川)だからニャ」
「……大将、日本酒と『またたびスティック』ちょうだい」
……猫たちの酒盛りは、夜中まで続きましたとさ……
微笑亭さん太