プリーズ・シート・ダウン
大変にショッキングな事件が起きましたよね。
他にも、のぞみの先頭車両から人体の一部が発見されたりとか、
昨年は新幹線に関するネガティブなニュースが
連続して起こったのは、ちょっと残念ですよね。
今や新幹線は日本人の足として、なくてはならないものですからね。
新幹線の座席というのは、人気のある席と無い席があります。
同じ料金を支払うのであれば、
より快適に過ごせる席を選びたいと思うのが人情ですよね。
普通車指定席の場合、A席、B席、C席の三列シートと、
通路を挟んでD席、E席の二列シートがありますよね。
出張などで一人で移動するビジネスマンを中心に最も人気があるのは、
二列シートの窓側である【E席】ですね。
E席側からは富士山が眺められるので、ビジネマンだけではなく、
カップルや観光客にも人気がありましてね。
また、彼らは移動中にパソコンで仕事をするため、
窓側の足元の壁についている電源コンセントの存在が大きいんですね。
さらにジャケットを掛ける事ができるフックもありますから、
至れり尽くせりの席なんですね。
どんなに仕事のできるビジネスマンでも、みんな新幹線の中では
【窓際族】になりたがるわけですね。
「やっぱり新幹線に乗るなら窓際のE席だよな。
富士山も見えるし、パソコンの仕事もできるし、
今日はすんなりE席が取れてよかったよ」
なんてんで、乗った途端に爆睡しちゃいましてね・・・
再び目が覚めた時には降りる駅の直前でして、
富士山も見てない、仕事もやってない、
物凄く損した気分で降りるハメになった方もいらっしゃるでしょうね。
E席の次に人気があるのが、二列シートの通路側である【D席】ですね。
D席は、トイレや喫煙などで席を立つ時に、
隣の乗客に気を遣わなくてもいいというのが最大のメリットでして、
通路側を好む乗客からの支持が高いんですね。
では最も人気のない席はどこかと言えば、
予想がつく事ではありますが、三列シートの真ん中にあたる【B席】ですね。
B席は最後まで売れ残るので、A席、C席には確実に人が座ってるわけですから、
その赤の他人の圧迫感を感じながら乗ってなくちゃいけないわけです。
景色も見にくいし、コンセントもないし、
トイレに立つ時もC席の人に気を遣わないといけないですから、
まさに貧乏くじを引かされた感じですよね。
じゃあB席には
全くメリットがないのかというと、そんな事はないんですね。
B席は両側からの圧迫感を軽減するために、
他の席よりもシートの幅が三センチ、広く作られているんですね。
ですから、他の席よりゆったりと座る事ができるわけです。
たった三センチといっても、この差は大きいですよ。
みどりの窓口で、ふくよかなご婦人が、
「新幹線のキップを買いたいんだけど、
この間、A席を買ったら、シートにお尻がすっぽりハマってしまって
抜けなくなっちゃったから、B席を頂戴」
こういうニーズはあるんじゃないですかね。
「世の中にはさ、
新幹線のB席を取りたがる物好きな連中ってのも存在するんだよ。
そういう連中が集まって、バンド活動を始めたらしいね」
「バンド活動?何ていう名前なの?」
「【B取るズ】だよ」
・・・果たして、売れる【のぞみ】はあるんでしょうかね?
微笑亭さん太