借りはないけど歌詞はある
CDが全く売れずという状態が続いていて、
誰もが知っていて口ずさむようなヒット曲が
出ないと言われて久しいですよね。
そこいくと、
昭和の頃のヒット曲というのは、誰もが知ってましたし、
メロディーもさることながら、その歌詞が魅力的でしたよね。
歌いだしの歌詞を聞いただけで、
その歌の世界観が聞く人の頭の中に広がった気がします。
例えば都はるみさんの【北の宿から】でも
『♪あなたかわりはないですか』って聞くと、
『あ~彼氏に飽きちゃって、彼氏の代わりを探してるんだな~』って事が判りますし、
細川たかしさんの【北酒場】でも
『♪北の酒場通りには 長い髪の女が似合う』なんて聞けば、
その酒場で【リング】の貞子がアルバイトしてるんだな~って事が判りますよね。
すぐに情景が浮かぶのが、昭和歌謡の素晴らしさでした。
それと同時に昭和の時代は規制が緩かったせいもあり、
今ならストップがかかりそうな、ヤバめの歌詞もありましたよね。
尾崎豊さんの『♪盗んだバイクで走りだす』なんて歌詞は、
完全に窃盗の告白ですから、今の時代ならアウトですよね。
『盗まれた人の気持ちを考えなさい!』とクレームが入るかもしれませんね。
今なら『♪盗んだトヨタを輸出する』とかになるんでしょうかね?
山口百恵さんの大ヒット曲も
『♪交差点では隣の車がミラー擦ったと 怒鳴っているから私もついつい大声になる
バカにしないでよ そっちのせいよ』これなんかも
『あおり運転を助長する』とかいう理由で、放送禁止になりそうですよね。
昨年ヒットした【ダ・パンプ】の【USA】は、
一歩間違うと酷評されそうな歌詞ですが、
多くの日本人がそう思ってるアメリカに対する憧れ、
そしてその憧れは古くてダサくて恥ずかしいという気持ちがあるというところを
うまく突いたのが、大ヒットにつながったんじゃないでしょうかね。
お笑いコンビ【スピードワゴン】の小沢一敬さんが自分のラジオ番組で
『現代の若者は【当たり前過ぎる事を書いている歌詞】に共感している』と指摘して、
賛同の声が広がっているそうですね。
小沢さんはその発言の中で、
現代の歌手が【共感性】に走り過ぎていると言ってましてね。
今のミュージシャンは『砂糖が甘い』みたいな歌詞で、
みんな『ああ、判る判る。だよね~』と言ってると。
共感を得られると、色んな人に聞いてもらえるという事になるでしょうが、
その分『誰でも書ける』と思われちゃうかもしれませんね。
現代の若者たちにとって昔の歌の歌詞というのは、
味があるけど難しいという印象なんでしょうかね。
そうしてみると古の時代の人たちも、
「今の若い者は【新古今和歌集】にハマるくせに
【古今和歌集】をいいと思わないんだよな~」
なんてボヤいてたかもしれませんね。
微笑亭さん太