故人情報を守る
死や苦しみと最短距離にある場所なわけですから、
入院患者の病室でも【4】とか【9】なんて数字は忌み嫌われて
欠番にしているところが多いですよね。
【42号室】なんてのは【死に】に直結しますから、
絶対に嫌がられるでしょうね。
「看護師さん、
ここの病棟は珍しく【42号室】がありますね。
誰も入りたがらないんじゃないんですか?」
「そうでもないんですよ。
患者さんご自身はともかく、
患者さんのご家族からの要望が結構多くて・・・」
そのあたりに、微妙な家族関係というのが
垣間見えたりしましてね。
ドラマなんかですと、大金持ちが亡くなった後、
その遺産を巡って親族たちに
骨肉の争いが起きるなんて事がよくありますが、
そういったトラブルを避けるためにも、
遺言を残しておくというのが一番いいのかもしれませんね。
亡くなった方の意思は、
出来るだけ叶えてあげたいと思うのが人情ですが、
中には困った遺言なんてのもありますよね。
ハワイが大好きで、ハワイに行くたびに
「私が死んだら葬式もお墓もいらないから、
この海へ骨を撒いて」
と口にする女性がいらっしゃいましてね。
その方、何度も何度もハワイに行くうちに、
波にのまれて溺れ死んでしまいましてね・・・
自然と希望が叶えられる形になっちゃったわけですが・・・
何のことはない、肌を焼かずに骨を焼いちゃったというわけですね。
そうかと思うと、大の阪神ファンの男性が
「俺が死んだら甲子園の一塁ベンチ前に骨を撒いて」
てな事を仰ってましてね。
ご希望通りに撒いてあげたら、
高校球児に砂と一緒に
持って帰られちゃったそうですけどね・・・
やはり場所は吟味しないといけないですよね。
また、母親から
『私が死んだら、絶対にお父さんと
同じお墓には入れないでね』と言われ、
父親からは『母さんが死んだら、
絶対に俺と同じ墓に入れろよ』と、
真逆の事を言われた息子さんがいらっしゃいましてね。
亡くなった後、仕方がないので、
お墓の中に個室を作って、そこに父親とは別に
母親の骨を入れたらしいですけどね・・・
死んでから【家庭内別居】というのも、
ちょっと悲しいものがありますよね。
微笑亭さん太