リアルに怖い
バーチャルリアリティーが取り入れられて久しいですが、
この分野の技術というのは日進月歩ですから、
どんどんとリアルな仮想現実の世界が体験できるようになってますよね。
ただリアルさが真に迫っているが故に、
人の体に悪影響を及ぼすという弊害も
出たりしているようですね。
今、仮想空間の中で
【ギロチンで首を切られる体験】ができるそうでしてね。
いわば【VR断頭台】ですよ。
ところがこれを実際に試した方が、断頭台で斬首された後、
そのショックで暫く動く事もできないほどの精神的な衝撃を受けてしまいましてね。
全身から冷や汗が吹き出して、手足が痺れ、
力は入らず、意識は遠のき、首に違和感が現れたそうでして、
本当に斬首された人の気持ちに限りなく近づいてしまったようですね。
これは精神的に影響を受けやすい人が体験したら、
本当に命を奪われかねない、
非常に恐ろしいものになりえるんじゃないでしょうかね。
そのうち、このVR断頭台が、人体に傷をつけない【人道的拷問】として、
世界各国に取り入れられる可能性があるかと思うとゾッとしますよね。
「この間、ギロチンで首を切られるVRを体験してきたんだって?」
「そうなんだよ。あまりにもリアルで気分が悪くなっちゃってさ、
そのまま寝込んじゃったんだよ」
「そんなにリアルなの?」
「翌日になっても立ち直れずに会社を無断欠勤したら、
上司が怒って、クビを切られちゃったよ」
こうならないように気をつけなければいけませんが、
それを利用して社員を奮起されるという方法もあるかもしれませんね。
「社長、お宅の会社では、社員たちに
上司からクビを言い渡されるVRを毎日見させてるそうですね」
「そうなんですよ。
社員たちは『お前のように仕事ができない奴はクビだ!』って言われる体験を
リアルにしているので、『そうなってはいけない』という事で、
仕事に打ち込む社員が増えました」
「なるほど。それはよく判りましたが、
上司の方々も、部下を労る優しい人が増えたと聞きましたが、
それはどうしてですか?」
「ああ、上の連中には、クビを言い渡した部下に
刃物で刺されるVRを毎日見せてますからね」
これはなかなか効果がありそうですよね。
微笑亭さん太