おちゃおちゃ言ってんじゃないよ
お茶の間で新聞を読みながらくつろいでいる波平さんが、
台所にいるフネさんに向かって、
「お~い、母さん、お茶をくれないか」
などと呼びかける場面を目にする事がありますが、
そういう風景も、だんだん見られなくなっていくかもしれませんね。
ペットボトルで販売されているお茶の中で、
最も有名と言っても過言ではないのが、
伊藤園の【お~いお茶】ですよね。
この【お~いお茶】という商品名が
【男尊女卑】の差別ではないかという話がありましてね。
【お~いお茶】というと、男が居間でふんぞり返ってテレビを見ていて、
台所で片付けしてる妻に向かって茶をよこせと命令するような、
昭和の古い日本の風景を連想させるというのが、その理由なんですね。
まあ、言われてみたらそうなのかもしれませんが、
仮にそうだとしても、お父さんが『お~い、母さん、お茶』と呼びかけて、
エプロンをした奥さんが『はいはい、今淹れますから待っててくださいね~』
なんて笑顔で応じる様子なんてのも、仲睦まじい夫婦の
日常のひとコマみたいな感じで、それはそれで良かった気もするんですが、
時代が変わったという事なんでしょうね。
「お~いお茶って商品名が、昭和の昔、奥さんを召使いのように
アゴでこきつかってる旦那さんを思わせるそうだよ」
「そんなわけないよ。
その頃の男は【お~いお茶】なんて言わないね。
【・・・お茶】しか言わないからね」
確かにその頃の男は『メシ!風呂!寝る!』
しか喋らないと言われてましたからね。
【お~い】と丁寧に呼びかけているだけ、
まだマシという事なんでしょうかね。
それに商品名が【おい、お茶】だったら男尊女卑感は強いんですが、
【お~いお茶】と、伸ばす事によって、優しさが加わっている気もしますよね。
ただ、【お~いお茶】というのは、
そういった男が女に呼びかけるシチュエーションでは
ないと思ってる方も多いようですね。
「えっ、【お~いお茶】って、
旦那さんが奥さんに向かって呼びかけてる言葉なの?
俺はてっきりみんなで作業をしていて、休憩時間にしようってなった時に
【お茶の時間だよ】という意味で、みんなに向かって
【お~いお茶】って呼びかけてるのかと思ってたよ」
「あ、そうなの?
俺は、青々とした茶畑に向かって【お~いお茶】って
叫んでるイメージだったんだけどな・・・お前はどう思った?」
「俺は、お茶が少し飲みたい時に、
寿司屋の湯飲みみたいなデカい器になみなみと持ってこられたんで
【多い、お茶!】って文句言ってるのかと思ったよ」
色々と受け取り方はあるようですね。
これはどの解釈が正解なのかは、
当の伊藤園に聞いてみるのが一番ですよね。
「あの、【お~いお茶】というのは、
お茶の間での夫婦の会話の呼びかけなんですかね?」
「はい、その通りです。
ただ、お茶を持ってこいと命令してるのは奥さんの方ですけどね」
・・・男尊女卑などではなく、むしろ
たくましくなった女性像を表す商品名なのかもしれませんね・・・
こうなったら、どこからも顰蹙を買わないように
商品名を【すみません、お茶を持ってきてくれませんか?】に
変えた方がいいんじゃないでしょうかね。
微笑亭さん太