しのぎねえな~
【シノギ】と言ったりします。
その内容は港湾業務や興行の元締めといった合法的手段もありますが、
大抵は賭博やノミ屋、ダフ屋、闇金といった違法手段が多いですね。
覚醒剤や危険ドラッグなどの違法薬物売買なんてのもあります。
警察がシノギとして違法薬物を売っている男の情報を得ましてね。
張込みを続け、ついにその男が薬物を売る瞬間を押さえて逮捕したんですね。
「放せよ!俺は捕まるような物は売ってねえよ!」
「ウソつけ!この薬物が何よりの証拠だ!」
見てみると、持っていたのは普通の風邪薬だったんですね。
どうやら【シノギ】ではなくて【シオノギ】だったという・・・。
最近は暴排条例による取り締まり強化などで、
こういったシノギは、やりにくくなっているようでして、
ああいう方々もかなり辛い状況にあるようですね。
とはいっても生きていかなければいけませんから、
ここへきて、新たなシノギの手段というのが登場してきてるようですね。
そんなシノギのひとつに【ヤクザグッズの販売】というのがありましてね。
暴力団組織には歴史があるため、
倉庫には膨大な量のヤクザグッズが眠っているんですが、
親分や幹部クラスの皆さんは、誰もそういった物に興味がないんですね。
そこで下の者たちが、たまに倉庫を漁っては
【山口組】や【稲川会】【住吉会】といった
超有名どころの代紋や名前が入った芳名録や灰皿などを持ち出して、
こっそりネットオークションで売ったりしてるんだそうですね。
これらのグッズは、ヤクザマニアの間で高値で取引されてましてね。
名刺やカレンダーは一枚三千円から取引されていて、
有名な組長の名刺だと、一枚で三万円以上するそうです。
襲名披露の引き出物やアルバムなどは
十万円以上の値がつく事もあると言いますから、馬鹿にならないですよね。
ただし、大量に売りさばけばバレて大変な事になるのは確実です。
ですから気づかれない程度に小出しにしなければいけないわけで、
『下手にシャブの密売をするよりもスリリングだ』と仰ってる方もいるそうですね。
「この間、ネットオークションで暴力団の名前入りの灰皿を買ったんだよ」
「そんな物買ってどうするの?」
「いや、玄関のところに置いておけば、
しつこいセールスマンとか来ても、
簡単に追い返せるんじゃないかなと思ってね」
「あ、なるほど。その手の連中も、即帰っていきそうだね」
なんてんで、灰皿が届くのを楽しみに待ってましてね。
数日後、届いた灰皿を見てみたら、
血まみれだったりしましてね・・・これはやはり、
返品という事になっちゃうんでしょうかね。
微笑亭さん太