落ちこぼれロボット
【完璧主義者】の方というのが、世の中にはいます。
こういう方というのは、全ての事柄に対して
九十五点や九十八点という高得点では満足せず、
常に百点を取らなければ気がすまないわけですね。
作家や音楽家など芸術方面で寡作な方というのは、
そこそこで世に送り出す事を良しとしない完璧主義者であったりしますね。
自分が納得する状態に仕上げる事にこだわるため、
多くの作品を作り出す事ができないわけです。
なかなか絵が仕上がらない画家なんてのも、そうですね。
「塗り直しを重ねて半年、
やっと描けた・・・この出来ならば文句はない。完璧だ」
「おめでとうございます、画伯!」
なんてんで握手を求めた拍子に、
絵の上にコーヒーを大量にこぼしちゃったりしましてね・・・
その後、確実に殺人事件が起こりそうですよね。
いつでも冷静に、
完璧に仕事をこなしていく人を【ロボット】に例えたりしますが、
ロボットというのは、与えられた仕事をプログラミングされた手順に則って
完璧にこなす事ができますよね。
機械が故障でもしない限りはミスする事はありえないわけです。
愛知県豊橋市にある豊橋技術科学大学が、
一見頼りない【弱いロボット】の開発を進めているそうですね。
具体的には、ティッシュペーパーを配るロボットなのに
【モジモジしてうまくティッシュを配れないロボット】ですとか
【ゴミを拾えないゴミ箱ロボット】などといったものですね。
ゴミ箱型のロボットは、
ゴミを拾うために近づいてきて、ゴミを拾いたそうにするんですが、
手足や拾う機能は付いておらず、ウロウロして困っているだけなんですね。
見るに見かねた学生が拾って箱に入れてあげると、
礼をするような仕草を見せるという、実に人間っぽいロボットなんですね。
開発された教授は
『自分で拾えないなら、周りの人に拾ってもらえばいいのでは、
という発想から生まれた』と仰っていて、不完全さを残す事で、
人の優しさや手助けを引き出す事ができるとして、
教育現場や医療現場などでの実用化を目指しているそうですね。
「ロボットって言ったらさ、昔から【鉄腕アトム】みたいな、
人間を遥かに超越したスーパーロボットを作り上げようとしてきたはずなのに、
これじゃ人間の手伝いも出来ないじゃないか」
「なるほど、要するに【手伝わんアトム】って事だね」
このロボットが実際に、
どういう状況で役に立つかという疑問があるわけですが、
子供に【助け合う事の大切さ】を教えたりするわけですね。
『ロボットがゴミを拾えなくて困っているから、
ボクが助けてあげよう』という風に思わせるわけです。
将来的にロボットが感情を持つようになれば、
助ける事によって、子供とロボットの間に
友情が生まれたりするかもしれませんよね。
「機械と人間の間に友情が芽生えるなんて凄いですね~」
「そうなんですよ。
そして、いざ友情を育んだ子供がいじめられたりして危害を加えられた時には、
ロボットがレーザービームを出して相手が塵と化すまで焼き尽くします」
実は凄いスペックの持ち主だったりしましてね。
微笑亭さん太