目を瞑った先にあるもの
死んでしまいたいくらい深刻に悩んでいた事も、時が経って振り返ってみると
『何で私、あんなに悩んでたんだろう?』と思う事はありますよね。
大抵の事は、後々笑って済むような事が多いですから、
やはり意識して笑うようにするというのが大切なんでしょうね。
笑うという行為には精神面を強くする効果があるという研究結果が出ていて、
その効果は【瞑想】に匹敵するそうですね。
被験者である三十人の大学生に
【面白いもの】【ストレスを感じさせるもの】【スピリチュアルなもの】など、
各ジャンルにまつわる映像を見てもらい、
その間、脳がどのような反応をみせるのか、
脳波を測定したんですね。
またそれとは別に、瞑想体験もしてもらい、
その間の脳波の動きも測定しましてね。
その結果、面白い映像を観ている時と瞑想をしている時の脳のガンマ波が、
全く同じ動きを見せたんですね。
ガンマ波は知覚や意識に関連付けられた脳波パターンで、
高次精神活動に関連しているとされていましてね。
笑う際に生まれるこの脳波が、満足感を生み、
考えをよりいっそうクリアにしてくれるんですね。
定期的に笑う事で脳をより良い状態に保つというのは、
定期的な運動で体の状態を整えるのと同じ事でして、
笑いが生む効果は抗うつ薬が持つそれと同等であり、
それどころか心臓病や体の炎症反応リスクをも
減らす効果さえ持ち合わせているんですね。
笑いが大切だという事が証明されたわけですから、
「将来的には寄席が、厚生労働省から保護される対象になるかもしれませんよね」
「そうですね・・・【面白い寄席】に限ってでしょうが」
雑念を払って意識を落ち着かせる【瞑想】というのは、
多くの効用があるとされていますが、宗教的な雰囲気も相まって、
それを実感できるまでには何年もの修行が必要だと言われています。
しかし、イタリアのボローニャ大学の教授らが行った研究によると、
わずか八週間の瞑想を続けるだけで、被験者の認知機能が向上し、
脳の構造が目に見えて変化した事が報告されてるんですね。
では、短期間の瞑想には具体的にどのような効果があるのかというと、
まず【自己中心性が和らぐ】という事がありましてね。
瞑想により脳の前頭前野腹内側部や前頭前野背外側部のバランスが保たれ、
不安が和らぎ、他者に対する共感が生まれやすくなるそうですね。
例えば目の前に食べたいプリンを置いて瞑想をした時、
目を開けるとそれが無くなっていても不安にならずに、
後で『美味しかった』と言っている弟を袋叩きにするだけで済んでしまうわけです。
それから【恐怖が和らぐ】という事がありましてね。
恐怖は脳の扁桃体と、そこから二つに分かれる神経系によって緩和されるんですね。
瞑想によってこれらの部位がリラックスすると、
不必要なストレスを感じなくなり、恐怖が和らぐそうですね。
「あなた、何してるの?」
「瞑想だよ。これをするとね、恐怖が和らいだりするんだよ」
「あ、そう・・・そんな事より、さっきから聞いてる、
このワイシャツに付いてる口紅の理由を説明してよ」
これはなかなか、恐怖が和らがないかもしれませんね。
「俺も瞑想を始めてからというもの
『早く働かなきゃ!』という欲が消えて、
無職の自分を誇れるようになってきたよ」
「・・・ああ、そう・・・その考え方が【迷走】してると思うよ」
こういう方は瞑想ついでに断食もし、
即身成仏になってみるのもいいんじゃないですかね。
微笑亭さん太