釣り銭の美学
ふと気づくと全く見かけなくなっていて、何年か経ってから何かのきっかけで
『あ~そんな人いたな~』などと思い出す事がありますよね。
我々が毎日のように使っている紙幣の中で、
そういう存在になってしまっているのが
【二千円札】じゃないかと思いますね。
二千円札は発行当初は広く使われたものの、
最近はほとんど見かけなくなりましたよね。
十代の若者などは見た事すらなかったりして、たまに見かけるとビックリするという、
【レアポケモン】みたいな扱いになってるわけです。
コンビニの支払いに二千円札を出したら
バイトの高校生が警察に通報したって話がありましてね・・・
偽札だと思われたんですね。
そんな風に、すっかり肩身が狭くなってしまった二千円札が、
堂々と流通している地域がありましてね。
それが、沖縄県なんですね。
沖縄では銀行でお金を下ろすと、
普通に二千円札が出てくるぐらいですから、
沖縄県在住者の方は、二千円札が今では珍しいと聞くと
心底ビックリされるそうですね。
そもそも二千円札は、
二〇〇〇年の沖縄サミット開催を記念して発行されたお札ですからね。
そのため沖縄県では二千円札の普及活動が進んでいて、
銀行やコンビニのATMでは、
二千円札が優先的に出るようになってるんですね。
沖縄以外の地域、東京なんかでも、
ATMで一万円下ろすと二千円札が五枚出てきたりなんて時もありました。
しかしあまり評判が良くなくて、
そのうち【二千円札で出金してもよろしいですか?】と
ダイアログが表示されるようになりましてね・・・
機械に気を使わせるお札というのも珍しいですよね。
まあぶっちゃけ登場前から、
その存在意義が疑問視されていた紙幣ですから、仕方ないですよね。
お店のレジの釣り銭入れでも、
二千円札を入れるスペースは無かったりしますから、
完全に【いらない子】扱いですよ。
お買い物をしたら、
かなりの頻度で釣り銭をもらう事になるわけですが、
その釣り銭のもらい方に関して、ちょっとした議論が巻き起こりましてね。
ある男女がお店で買い物をして六百八十円の金額に対し、
男性が千百八十円を出したところ、連れの女性から
『そういう出し方する男は気持ち悪い』と言われたなんという事があったんですね。
六百十円の買い物に対して
千十円を出すというのは、普通にある事だと思いますが、
この男性は【五百円玉で釣り銭をもらう】という目的のために
千百八十円を出したわけですね。
男性としては、財布の中に小銭が多くなるのを避けたかったんでしょうが、
女性からしてみると、ちょっと小銭が多くなるくらいでゴタゴタ言うのが、
了見が狭くて器が小さく映り、気持ち悪いという感覚に繋がるんでしょうね。
もっともそういう財布の中身にこだわる人に限って、
財布の中に使わないであろうポイントカードがたまっていたり、
一応とっておいたレシートがぎっしり詰まってたりするので、
それらを全部捨てた方が、
よほど財布の中身はスッキリするんですけどね。
男性としては、買い物はスマートに済ませたいですよね。
例えばクリスマスに三千円の買い物して、女性の店員さんに一万円札を出し、
「・・・後は君にプレゼントだよ」と言って、
ニッコリ笑ってその場を立ち去るとかね・・・
これがいわるる【クリスマス釣り】というやつですかね。
微笑亭さん太