線香投資は完璧
お墓や仏壇に供えるか、蚊を追っ払うぐらいしかないようですが、
江戸時代には時計の代わりとしても使われてましてね。
禅寺では線香が一本燃え尽きるまでの時間、
四十分を【一炷(いっちゅう)】と呼び、
坐禅を行う時間の単位としてたんですね。
ですから四十分間で素晴らしいトンチが浮かぶ小坊主さんの事を
【一炷さん】と呼んでたそうですね。
また遊郭では、
一回の遊びの時間を線香の燃え尽きる時間を基準として計っていましたが、
中には線香を途中で折って時間を短縮させる
インチキをする遊女もいたそうですね。
お客としては、
「・・・あれ?もう線香がそんなに短くなっちまったの?
妙に早えじゃねえか。こりゃ、こっちも早えとこ済まさねえと・・・」
なんてんで焦るんですが、焦ると萎えてしまって、
なかなかうまくいきませんでね・・・
線香が折れた上に【中折れ】だったりしたら悲惨ですよね。
ただでさえ線香の使われる機会が少なくなった上、
仏壇を置いていない家も増え、線香の消費量は減る一方です。
そんな線香離れに待ったをかけたのが、
線香やお香の製造、販売を行っているカメヤマ株式会社でしてね。
今、サクマ製菓株式会社とコラボレーションして、
【サクマドロップス・ミニ寸線香】というのを発売してましてね。
これは、サクマドロップスの四種のフルーツ、
いちご、りんご、オレンジ、メロンの香りが楽しめる線香なんですね。
しかし『何故線香とドロップのコラボなのか?』という単純な疑問がわきますよね。
近年、供養の習慣が薄れつつあり、また一方で
自分らしく故人を偲ぶ新しい供養スタイルが増えてきているそうなので、
カメヤマでは、これからの供養者層にもローソクや線香を使ってもらえるよう、
故人が好きだったものを再現した線香作りを行ってましてね。
その中で、百年以上経っても、
子供からお年寄りまで愛され続けているロングセラー商品である
サクマドロップスに注目したわけですね。
そして線香にもサクマドロップスのように種類を入れる事で、
日によって香りを選べますし、パッケージを開けた時に、
見た目の彩りで楽しんでいただきたいという思いからだそうですね。
この商品、大変に好評だそうでして、
香りの種類も増えていくんじゃないですかね。
「おい、お前の家、火事になりかけたんだって?原因は何なんだよ?」
「お仏壇に置いていた【サクマドロップス線香】から火が出たんだよ」
「線香の火の不始末か。気を付けないとダメだろ」
「いやいや、線香に火はつけてないのにボヤ騒ぎになったんだよ」
「火をつけてないのにボヤが出た?どうして?」
「サクマドロップス線香から、ひとりでに【ハッカ】したんだ」
やはり【ハッカ】だけは、香りに加えない方がいいみたいですね。
微笑亭さん太